彼岸花

2020年08月25日 01:02

彼岸花 監督・小津安二郎 1958年 松竹


①彼岸花 パッケージ


原作は里見弴の短編同名小説で、野田高梧と小津安二郎による共同脚本。
関西からの刺客、浪花千栄子と山本富士子の存在感が、なんとも圧巻。

②スクリーンショット (1653)_R
《山本富士子(左)と浪花千栄子(右)》

この作品は小津監督にとっての初のカラー映画(アグフアカラー総天然色)でした。



あらすじは・・・
大企業・大和商事の常務である平山渉(佐分利信)は、中学時代からの親友・河合(中村伸郎)の娘の結婚式に、妻の清子(田中絹代)と出席する。

③スクリーンショット (1337)_R
《中央が平山渉役の佐分利信、左が妻・清子役の田中絹代》

しかし、同じ親友の三上(笠智衆)は欠席。三上は娘・文子(久我美子)が家を出て男と一緒に暮らしていることに悩み、幸せな結婚式の場にいることがいたたまれなかったのだ。

④スクリーンショット (1391)_R
《平山の会社を訪れた三上(笠智衆)》

平山は三上の頼みで、銀座のバーで働く文子の様子を見に行き、文子の思いに理解を示す。

⑤スクリーンショット (1536)_R
《文子役の久我美子》

一方、平山のなじみである京都の旅館「佐々木」の女将・佐々木初(浪花千栄子)も年頃の娘・幸子(山本富士子)の良縁を気にかけていた。
そして、平山にも年頃の長女・節子(有馬稲子)がいて、ある日突然、節子と付き合っている谷口(佐田啓二)が会社に現れ、節子と結婚したいと平山に申し出る。

⑥スクリーンショット (1462)_R
《節子役の有馬稲子》

⑦スクリーンショット (1500)_R
《谷口役の佐田啓二》

他人の娘の自由恋愛には理解を示すものの、自分の娘の結婚は、かたくなに認めない平山。
妻の清子や、次女の久子(桑野みゆき)は谷口のことを気に入るが、平山の気持ちは頑なになるだけ。
そこで、節子の友人でもある幸子が東京を訪れ、節子の境遇を自分のことに置き換えて、平山に相談。理解を示す平山の言質を取って、節子の結婚を後押しする。

⑧スクリーンショット (1580)_R

渋々、娘の結婚を許し、結婚式にも出席した平山だった。後日、同窓会の後に京都の旅館「佐々木」に投宿する。そこで旅館の娘・幸子から、「結婚式で父が最後まで一度も笑顔を見せてくれなかった」との節子からの心残りの言葉を聞かされる。

⑨スクリーンショット (1642)_R

平山は、初と幸子親子からも促されて、節子と谷口が新婚生活を営む転勤先の広島に向かう。



親の決めた家柄重視の結婚から、自由恋愛が主流になってきた時代の牧歌的な物語。ただ男親の心は、いつの時代も変わらないものなのでしょうね。

里見弴の原作を基にし、野田高梧との共同シナリオで映画化した作品は、2年後の『秋日和』も同じ。
松竹作品に、当時の大映のスターである山本富士子が客演することでも話題になりました。


本作品の舞台は京都ではなく、終盤に平山が宿泊する旅館「佐々木」での場面が出てくるだけ。しかし、女将・初を演じる浪花千栄子と、その娘・幸子を演じた山本富士子が、京都人らしい歯に衣着せぬ物言いで、平山を娘夫婦の生活する広島行きへと突き動かします。

⑩スクリーンショット (1624)_R


作品冒頭では、結婚式後に酒を酌み交わしながら、平山とその同級生たちが「男の方が強いと、女の子が生まれるというし。女が強いと男だってねえ、本当かね」「昔から一姫二太郎っていうね。ありゃあ、つまりなにかな。新婚当時は男の方が盛んだってわけかね」というセリフがあります。

このような表現も今の時代では、あらぬ批判も起こりうるセリフなのでしょうが、田中絹代の演じる清子が“糟糠の妻”といった戦前の女性像から脱却し、夫に対して娘の幸せを思って自己主張する姿に、新しい家族像のあり方を思わせます。

⑩スクリーンショット (1373)_R





コメント

  1. taikun | URL | KUURLf2I

    再開ありがとうございます。

    ずっと気になっていましたが、久し振りに貴サイトを開いてみましたら、なんと更新されているではありませんか!楽しみが増えました。スローで行きましょう。よろしくお願いします。

  2.  t.okuno | URL | -

    Re: 再開ありがとうございます。

    taikunさん、ありがとうございます。

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