本能寺ホテル

2020年08月30日 22:51

本能寺ホテル 監督・鈴木雅之 2017年 


①本能寺ホテル パッケージ

現代人がタイムスリップして出会った有名人第一位、織田信長!
映画としては月並みな題材で、観るもののハードルも上がってしまうものですが・・・。

公開時の「日本史最大のミステリー『本能寺の変』の謎が、400年の時を超えて今明かされる!」との謳い文句は、さすがに大げさ。
だからこそ、レビューによっては酷評もされている本作品。ただ、歴史エンターテイメント、コメディ映画、京都の観光案内としてみれば、それほど目くじらを立てるほどの駄作ではないとも思うのです。

祇園祭、上七軒、嵐山、東福寺、ねねの道、先斗町、鴨川、祇園界隈、下鴨神社、八坂の塔、随心院、東本願寺渉成園、仁和寺、南禅寺、神護寺、今宮神社、八坂神社・・・京都の名所はふんだんに出てきます。

②スクリーンショット (191)_R
《祇園祭の宵山》

③スクリーンショット (194)_R
《夜の上七軒》

④スクリーンショット (205)_R
《高台寺のねねの道》

映画自体の魅力は、綾瀬はるか、堤真一、濱田岳といった、個性ある役者の力量に支えられている部分が大きいです。

⑤スクリーンショット (355)_R
《森蘭丸役は濱田岳》


あらすじは・・・
会社が倒産して失業した倉本繭子(綾瀬はるか)が、婚約者・吉岡恭一(平山浩行)の両親の金婚式祝賀パーティーに出席するため、京都を訪れる。
しかし、宿泊するはずのホテルは繭子の手違いで一カ月先の予約になっており、途方に暮れた繭子は、町の路地裏で偶然見つけたレトロな「本能寺ホテル」に宿泊する。
ホテルのエレベーターに乗ると、1582(天正10)年の「本能寺の変」が起こる前日にタイムスリップ。戦国の世で織田信長や森蘭丸らと出会う。
繭子はエレベーターを介して、現代と戦国時代を行き来しながら、信長や蘭丸との交流を重ねるうちに、その人間性に惹かれるとともに、繭子自身も自らの生き方を問い直す。

⑤スクリーンショット (287)_R
《路地裏にある「本能寺ホテル」》


鈴木雅之監督をはじめ、脚本家の相沢友子といった制作陣。綾瀬はるか、堤真一といったキャストは、2011年に映画化された『プリンセス トヨトミ』(原作・万城目学)を思い起こします。脚本に定評のある相沢さんですが、今回は少し期待外れで、もっとシナリオに丁寧な展開を期待したかった。といっても2日間だけの出来事で、人の心の交流を描くことが難しいこともわかりますが。
ただし、今までの信長像とは違った、天下泰平の志をあつく抱く信長像は嫌いではないです。

⑦スクリーンショット (530)_R
《織田信長役は堤真一》

はた目には傍若無人にふるまい、しかし泰平の世を望む信長は、繭子に「町民たちは皆、穏やかに笑って、幸せに暮らしておるだろう」と語るが、繭子は「誰も、笑ってないです。世の中がどうかは知らないですが、ここにいる人たち(家臣)は、誰も笑ってないですよね。みんな、胃が痛くなるほど緊張して、おびえて、暗い顔して、全然幸せそうに見えません」と一蹴。
戦国の世にあっては、繭子が異人だからこそ信長に対して言える言葉で、繭子の言葉をずっと気にしている信長。


町に繰り出し、繭子に着物を買ってやった信長は、「わしがつくりたかった太平の世が、間もなくやってくるのだ」

⑧スクリーンショット (580)_R

繭子「それが信長さんのやりたかったこと?」
信長「そうだ」
繭子「天下統一なんて大きなこと、誰にでもできることじゃないですよ」
信長「できないんじゃない、誰もしようとしなかっただけだ。お前は何がしたい?」
繭子「私には信長さんのような、大きな夢はありませんよ」
信長「大きいとか、小さいとか、関係あるのか? 自分のやりたいことに大きいも小さいもない。やりたいか、やりたくないか。やるか、やらぬか。それだけではないのか。しかし、わしの家臣たちは、幸せには見えなかったか・・・」
繭子も信長の言葉に、自らの生き方を省みる。

⑨スクリーンショット (603)_R


信長に惹かれた繭子は「今夜は本能寺にお泊りですよね・・・」と、歴史が変わることに躊躇し、明智光秀(高嶋政宏)の裏切りを言うか言うまいか、逡巡し・・・。


光秀の謀反の直前、森蘭丸は信長に、繭子が未来人であることを信用するのかと問うが・・・

信長「わしはこの間まで、この世界が丸いということを知らなかった。それに海の向こうに住む、肌や髪の色が違う人間のこと、彼らが作り出した様々なもののこと、それも知らなかった。とすれば、未来からここに飛んでくる人間のいるということも、ただ知らぬだけなのかもしれん。そうやって世は変わっていく。そして我々が想像もできないような未来がいずれこの国に訪れるのだ」
蘭丸「では、どうなさるおつもりで」
信長「わしは逃げも隠れもせん」
蘭丸「おのが定めを受け入れ、死をも恐れず、最期まで武士の誇りを貫き通そうとするお姿。まこと、立派にございます」
信長「(天下統一は)誰でもよいのだ。この国に天下泰平の世がやってくるのが、わしの望みだ。よいか蘭丸、わしは武士の誇りなどというもののためには、死なん」

⑩スクリーンショット (731)_R

繭子の忠告を無視し、信長は繭子がタイムスリップしてきた時に落とした「縁結びスポット」を紹介するチラシを見て、400年後に実現している泰平の世に満足して、天命を全うする。
そして現代に戻った繭子は、恭一に婚約の解消を願い出る。何事も流れるに任せて、頼りなかった自分を変え、歴史を教える社会科教員として働きたいと決意する。

⑪スクリーンショット (439)_R


この作品では、繭子の生き方を変えるきっかけになる人物として、婚約者・恭一の父親、吉岡征次郎(近藤正臣)の存在もありました。一介の料理人から京都を代表する料亭「吉岡」を築き上げたものの、妻の死を機に料亭を廃業し、料理人としての原点に戻り、金のない学生に喜ばれる大衆食堂を開く決意をする。

征次郎「この齢になって、大衆食堂もないやろうと思われるかもしれませんが、私は遅うないと思っている。できると思っている」

⑫スクリーンショット (456)_R

⑬スクリーンショット (700)_R

いつも思うのですが、京都育ちの近藤正臣さんのネッタリした関西弁は、あまりにネイティブすぎて、京都人からすれば逆の意味での違和感も・・・。


ホテルのエレベーターから1582年にタイムスリップするには、ロビーに置かれた壊れているはずの古いオルゴールが動き出し、さらにエレベーター内で金平糖を食べることが条件。

⑭スクリーンショット (317)_R
《宣教師が日本に持ち込み、信長が持っていたかもしれないというオルゴール》

そして現代に戻ってくるきっかけは、フロントに置かれている呼び鈴が鳴らされること。
金平糖の緑寿庵清水さんにとっては、最大のプロモーション映画になりましたね。

⑮スクリーンショット (236)_R


あと、「振々毬杖(ぶりぶりぎっちょう)」なる、子どもたちの遊びが劇中で出てきますが、本当にあった遊びだったんですね。

⑯スクリーンショット (610)_R





コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://2ndkyotoism.blog101.fc2.com/tb.php/400-48da9a19
    この記事へのトラックバック


    Twitterボタン