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女経 その2

2012年12月22日 22:02

恋を忘れていた女(『女経』より) 監督・吉村公三郎


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お三津(京マチ子)は元は先斗町の売れっ子芸者だったが、今は亡き夫の宿屋・碇家を継いで、修学旅行専門の宿として繁盛させている。さらに木屋町ではバーを開き、先斗町のお茶屋を株式会社にして重役に座るという、界隈では名の知られた、やり手の女。

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お三津のもとに、義妹の弓子(叶順子)が冴えない恋人・吉須(川崎敬三)を連れて東京からやってきた。金の無心に来たのだった。

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その最中、碇家に泊まっていた修学旅行生が宿の前で交通事故に遭い、重体となる。

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お三津は「何でけが人をうちにいれたんや。えらい迷惑やわ。新聞にも碇家の名前をださんといてもらわんと」と不機嫌。「うちに責任のないことで商売の順が狂たら、どうする気え?」と番頭を怒鳴りつける。

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お三津の心配をよそに、修学旅行の一行は、ケガをした生徒と女教師(小野道子)を残して、奈良へと旅立った。

碇家に再度、金の無心に来た弓子に「弓子はん。男ちゅうもんは女を不幸せにするだけのもんどっせ。女は惚れた腫れたで夢中になりますけどな・・・女ちゅうもんは、欲しいもんでも、したいことでも八分に抑えとくことで初めて幸せになれるもんどっせ」と、吉須が弓子を騙していると疑わず、金を貸すことを断る。

「それは芸者の人生観ね。つまりは打算という事じゃない」と弓子も強く言い返す。「私はね、前々からあなたが死んだ兄さんを本当に愛していたとは思えなかったわ。碇家の財産を狙ってあなた・・・だったらあなた・・・この碇家へ泥棒に入ったのと同じことだわ」

「弓子はん、うちは碇家の財産を倍にも増やしましたえ」
「そりゃ、そうかもしれないけど・・・いつでもお金の多い方へ転ぶというのは芸者の考え方でしょ。でも私は違うの。私はね、騙されてもいいの。後悔はしないは、愛しているから・・・。でも、お三津さん、お金の勘定ばかりしていて、あなた今まで本当に幸せだと思ったことがあって? あったはずがないし、これからもないわ。だってあなた、お気の毒だけど、もう、あんまり若くないのよ」

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〈30代半ばの京マチ子も、若い叶順子にここまで言われては、ぐうの音も出ません・・・〉

そこに助け船のように、電話が・・・。昔の男・兼光(根上淳)からの久しぶりの電話だった。

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木屋町のバーで待っているという兼光の電話を無言で切るお三津。


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〈生徒を看病する小野道子演じる女教師〉

生徒の家は貧乏で、伊勢湾台風で家も流され、修学旅行はおじさんからお金を借りてやってきたのだった。


お三津は隠居している義父(二代目中村鴈治郎)の機嫌をとるため、岡崎の家にいた。
「なあ、お三津・・・どや、今晩一緒にねよか」と誘う義父。
「やめておくれやす。しょうもない」と断るお三津だが、夫が亡くなり碇家を追い出されることを恐れたお三津は義父と関係を持つことで女将の座を得たのだった。

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迫る義父を「あきまへん!」と断り、やってきたのは、お三津が営む木屋町のバー。

そこに待っていたのは兼光で、「本当に好きやったのは、あんさんでした」と懐かしさのあまり、焼けぼっくいに火がつくが・・・警察が乱入。

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兼光は詐欺の容疑で手配されていたのだった。

気を落とすお三津に碇家から電話が。生徒の体調が急変した。
急いで帰ってきたお三津は、生徒の貧しい生い立ちに同情し、「先生、ご心配はどうぞご無用に。碇家で出来るだけのことはさせていただきますさかい」と。輸血が必要な生徒のためにお三津は自分の血を提供する。

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暁どき、生徒の体調が回復したことを聞き、お三津は安堵する。
「甲斐がおしたなあ、女将さん。ほんまにようしておあげなした」とねぎらうお手伝いに、「初めて人のためにな。自分のことしか考えてこなんだうちやけど・・・」とお三津は生徒の様子を見にいく。生徒はお三津を見てほほえみ、お三津はうなずく。

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弓子が恋人の吉須を伴ってやってきた。朝一番の汽車で東京に帰るという。「ねえ、お姉さん。私たちを信じてください」と言う弓子に、お三津は金を差し出した。

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「なあ、弓子はん。あんさんらにあやかって、うちももういっぺんさがしてみよう思う。女のほんまの幸せっちゅうもんを・・・もう手遅れかもしれまへんけど」と照れるお三津。

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3作品の中ではすこしテーマの重い「恋を忘れていた女」でしたが、朝の澄んだ三条大橋にたたずむ京マチ子の姿に、やけにすがすがしさの残る名作の匂いが漂っているのでした。

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コメント

  1. RINO | URL | -

    当方、西院生まれの太秦育ち。映画俳優があちこちでロケをするのを真近に育ち、市内の大学入りゃまだ学生運動やってるとこみてホクホクしたり…でした。学生が好むようなB級グルメも旨い。
    だから大阪で働き始めて、ずっと15年、他府県人の言う「伝統、寺院仏閣、祇園の舞妓、はんなり云々」と違う良さを京都に見出して欲しく、しかしなかなか表現が難しい街であるなあ、と、つくづく思い続けてました。
    こんな趣旨のブログがあるとは。少数者の喝采が聞こえるよう。
    頑張ってくださいませ!

  2. t.okuno | URL | -

    RINOさん、コメントありがとうございます。

    「少数者の喝采」というのは、このブログに対する最大の褒め言葉ですよ。
    ガイドブックや山村美紗サスペンスだけが京都ではないのです(苦笑)。
    当分更新もままならないと思いますが、また見てくださいネ。

  3. | |

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