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無常 その4

2011年10月03日 01:28

荻原は京都で正夫に会う決意をし、京都に向かう。そしてこの映画最大のクライマックス、極楽地獄問答が展開される。

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〈荻原と正夫の対決の舞台となったのは、東福寺〉

正夫に会った荻原は、彼に旅に出ることをすすめ「一切不定、あらゆる人間、あらゆる土地、一切の執着と縁を絶て!・・・行く先々で地獄をつくってゆく。キミはそういう人間なんや」と断罪する。

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しかし正夫は荻原の言葉を意に介さない。「ある人間が他の人間に関われるのは、所詮その他の人間の中にすでに潜在していたものを引き出すにとまります。それだけですよ。・・・この人たちは私を通して自分の宿命を実現しているんです。それをどうしても地獄と言いたいのなら、それはあなたの勝手ですけどね」と。

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荻原「しかし、人間必ずしも宿命を自覚することがそのまま自分の幸せに繋がるわけではない。もし、宿命を見つめることが、その人にとって奈落を意味するなら、その宿命を見つめないよう目の前に大きな手が差し出され、視線を遮る。・・・それが阿弥陀の御手だ。人間誰しも、自分の宿命を見つめる力はない」

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正夫「しかし、どうしても見たいいう人がいたら?」

荻原「そのような欲望を鎮めるのが、我々僧侶の勤めや・・・確かに私は非力やけど、私とてそれくらいの心づもりはあって僧職を選んだつもりや」

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建前上の一般論でしか言葉を返さない荻原に向かって、正夫が快楽主義に走った理由を語りだす。
それは子供の頃に見た地獄絵図にまで遡る。こんな世界があるのなら、はじめから人間なんて存在しない方がいいのではないかと自問自答した正夫の子どもの日々にまで・・・。

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正夫「地獄の絵があるからには極楽の絵もあるに違いない・・・地獄絵が阿鼻地獄、無間地獄と、ありとあらゆる地獄を克明に描き別けてあるのに、極楽の絵は実に単調なのです。阿弥陀と蓮の葉と・・・それだけです。極楽の絵には迫力が全然見られない。どう見ても白々しく嘘っぱちにしか見えないんですわ。・・・そこで私は考えました。そしてハタと思い当たりました。こいつは当たり前のことや。極楽の絵に快楽のあるわけはない。なぜなら快楽というのは、欲を満たしたときに得られるもので、欲を満たすということは、まさに悪に他ならないからです。極楽に快楽のあるわけはない!」

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荻原「キミ、絵などは所詮、大衆に仏の道を悟らせるための方便やないか」

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正夫「極楽に快楽はあり得ない。それでは他に何があるのか? 荻野さん、極楽にはいったい何がありますのやろ? それは無です、荻野さん。無としての快楽ならある。しかし、無は無で、つまり極楽はない。私はそういう結論に達したんです。仏の教えいうもんは無への招待に他ならない」

荻原「それを涅槃というのだ。無ではなく、時間空間のない永遠の停止。それこそ、快楽以外の何ものでもないやろ?」


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正夫「死んでも意識はありますか?! 涅槃の境地に意識はありますか?!! もし意識とは時間と空間に関する意識とすれば、それはない。もちろん快楽の意識もあるわけはない!!」

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荻原「日野君、それがキミの行動の原理なのか?」

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正夫「そうです。極楽がなければ地獄もない。あるのはこの現実だけだが、そのようにとらえられた私の現実においては、掟の一切は成立しない。なぜなら掟とは罪と罰の中間にあるのに、私の現実には罪も罰もないからです」

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荻原「しかし、そんな・・・そんな君の現実とは無秩序以外の何ものでもない。それでどうやって人間は生きていける?」

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正夫「別に人間は生きる必要はない。我々は、人類は存続すべきであるという妄念にとらわれすぎている。しかし、そんな妄念のある限り、掟はアメーバのようにしぶとく生きていく。私はそんな掟は認めへん。仏の無に対抗するには、それしかない」

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荻原「・・・君は狂っている」





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