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京都買います

2010年09月30日 00:40

怪奇大作戦 第25話「京都買います」 1969年

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なにがって、もう、タイトルにやられちゃいます! 「京都買います」ですよっ、「京都買います」!
「呪いの壺」に引き続き監督は実相寺昭雄。脚本は佐々木守。とにかく岸田森の演技と存在感に注目です。



京都で仏像が忽然と消失する怪事件が発生していた。
しかも消失した仏像はどれも考古学の権威・藤森教授(岩田直二)が研究していたものばかりだった。SRIの牧史郎(岸田森)は教授の研究室を訪ねる。

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しかし、重大事件であるにもかかわらず、教授から出てきた言葉は「ざんねやと思う一方、ほっとしております」という意外なものであった。
仏像が安心して住める町でなくなりつつある京都の変わり様を嘆いているのだ。
いつも怜悧な牧であったが、研究室助手の須藤美弥子(斎藤チヤ子)を見て、心惹かれるものがあった。

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美弥子はかいがいしく、愛おしむように仏像に接していた。


SRIの助手・小川さおり(小橋玲子)にゴーゴー喫茶へと連れてこられた牧。
「踊ろう」というさおりをよそに、騒々しさに耐えきれず外に出ようとする。その時、美弥子の姿を見かけた。

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美弥子は踊る若者たちに「ねえ、あなた、京都の町を売らない?」と尋ねているのだった。
若者たちは深く考えず、美弥子の差し出す“契約書”にサインする。
その紙には「京都市民として、京都に現存する歴史的文化財に関する一切の権利を譲渡すことを約束します」と記してあった。
美弥子に詰め寄る牧。「誰も京都なんか愛してないって証拠です」そう言って雲水の列をかき分け消えていく。

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美弥子を探し出した牧に、
「買ってしまいたいんです。仏像の美しさのわからない人たちから、京の都を・・・。仏像のよさのわかる人たちだけの都をつくりたい」そう語る美弥子。
その意図を理解できない牧に、さらに語る。「仏像は私だけのもの、そう思いたいからです」と。

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見晴らしのいい山門で、牧は精一杯の言葉を発する。
「僕は仏像より、現実に生きた人間の方が好きかもしれない・・・」もちろん、それは美弥子のことであった。
文の助茶屋で、「たまにはこんなところに来るのもいいものでしょう?」と問う牧に、「生きている男の方とお話しするのも悪くない・・・今はそう思ってますわ」と答える美弥子。ふたりのつかの間の休息であった。

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また消失事件が発生した。
現場に来た牧に、雲水の鳴らす錫杖の音が聞こえる。自然と美弥子のことを思い出す。
現場に不審な器具が見つかった。物質を電送するという“カドミウム光線”と関係があるかもしれない・・・。
牧にはなんとなく美弥子の仕業だと言うことがわかっていた。

「昨日の夜、また一つ仏像が消えた。あれはどういう訳なんです?」

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美弥子は「知りません・・・何も・・・さようなら」と走って逃げるが、牧につかまり見つめられると、とうとう白状してしまう。
「許してください、私は仏像を愛してしまった女なんです」そう言い残し、歩き去る。牧ももう追いかけようとはしない。

SRIがくつろぐ旅館の一室。牧以外のメンバーには、まだ美弥子が犯人だという確証はない。
一方、カドミウム光線は物質をその構成分子に分解し、電送するものであるということがわかる。

美弥子を尾行し続けていた牧は、法性寺で美弥子が装置をつけるところを目撃する。柱には例のカドミウム光線を出す発信器があった。


ある寺の一室で、読経が鳴り響く中、藤森教授と、美弥子、そして僧の集団がいる。
消失したはずの仏像たちが並べられ、仏像の前には、京都市民が署名した契約書の山があった。

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「いくら冗談やゆうても、こんだけ仰山の人たちがこの町のもつ文化に関心がない」無念そうな藤森教授。
「先生作りましょう。一日も早く、この仏像たちの町を・・・」美弥子の目には涙が光る。

そこへ、ついに受信地を突き止めた、警察とSRIの一団が立ち入る。
国宝消失事件の犯人として藤森教授は、なすすべなく連行される。
「牧さん、あなた・・・」集団の後ろに隠れるように立っていた牧を認めた美弥子。その視線が牧にはつらい。

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牧に追い打ちをかけるように美弥子は呟く。
「仏像以外のものを信じようとした・・・私が間違ってた・・・それだけのことです」
暗闇へと美弥子は姿を消す。


京の町、京の寺を彷徨う牧。美弥子の面影をさがすように。

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人のいないある古びた寺で、地面を掃く尼僧に声を掛ける。
振り向くと、それは美弥子だった。

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「美弥子さん・・・」
「須藤美弥子は一生仏像とともに暮らすとお伝えしてくれとのことでした・・・」
うなだれる牧。
「きっとそのほうがお幸せだと思います。どうぞあなた様も、お忘れになってくださいませ」
諦めて帰ろうとする牧が振り返ると、美弥子は仏像になっていた・・・。

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震える牧は、コートを頭から被り、その場から走り去った。



もう、上質の散文詩を映像で見ているようです・・・。
そして岸田森の演技は神経質そうで、それでいてナイーブで・・・、個性派俳優と呼ばれるに相応しい真骨頂ですっ!!
もちろん、“カドミウム光線”もすんなりと受け入れられましたね(笑)。

でもね、最後のシーン、仏像に箒を持たせるって、一体・・・?
まあ、牧さんにはそう見えちゃったんだから仕方ないか(笑)。



岸田森はもともと文学座の出身。創設者の一人でもある岸田國士の甥という関係もあったのでしょう。
それまで舞台を主戦場としていた彼が、テレビへと本格的に進出したのは、「氷点」(1966年)での辻口徹役。たいへんな高視聴率ドラマで、この時、世間には役者として認知されたようです。

そしてこの「怪奇大作戦」(1968年)で、役者人生に大きな影響を与える円谷プロと出会うのです。よほど肌に合っていたのでしょう。
新劇出身にもかかわらず、この作品以降、自ら「僕は円谷育ち」と公言するくらいなのですから。
惜しむらくは、1982年に43歳の若さでなくなってしまったこと。演出家としての才能をも秘めていただけに、今のつまらないドラマ界をどう思っているのでしょう。


同じく「円谷プロはわたしの故山」と語る実相寺昭雄監督。監督として、ウルトラマン作品からATG作品へと移り変わる際の、“紀元零年”的な作品が「呪いの壺」と「京都買います」ではなかったでしょうか。
「京都買います」では、主な寺院ロケを金戒光明寺で行っていますが、それでも、広隆寺、仁和寺、平等院、東福寺、知恩院、銀閣寺、化野念仏寺、万福寺、光悦寺、源光庵、二尊院、祗王寺、常寂光寺・・・と30分番組には贅沢なほど京都の寺社でロケを行っています。
並の作品なら、むしろその行動範囲が違和感となってしまうのですが、そんな違和感をも凌駕する圧倒的な叙情的芸術作品にしてしまいました。


こうしてみると円谷プロの功績は偉大ですね。
特撮があたかも、子ども向けだけのものと思っている人がいるとしたら、人生をいくらか損をしています。


現在、「怪奇大作戦」はデジタルウルトラシリーズ(全6巻)としてDVDで見ることができます(ただし、第24話の「狂鬼人間」は未収録です。大人の事情・・・差別用語の為でしょうか・・・)。

怪奇大作戦DVD_20100929162609
〈「呪いの壺」と「京都買います」はVo6に収録〉





コメント

  1. | |

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  2. t.okuno | URL | -

    Kazzaさん、コメントありがとうございました。
    ぜひ、実相寺監督作品は、ほかのものも見てくださいネ。

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