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人生の夜明け

2010年09月27日 00:09

本秀康 「人生の夜明け」(『本秀康名作劇場』所収 小学館)

本秀康名作劇場 表紙_20100926221300

「人生の夜明け」の初出は、週刊ビッグコミックスピリッツ増刊『IKKI』(前編2002年11月1日号、後編2003年2月1日号)。


本秀康といえば、親しみのあるかわいいキャラに平然と毒を吐かせたり、
時にシニカル(「マイ・スイート・ロード」etc)、
ある時にはリリカル(「レイクサイド・ストーリー」etc)、
さらに不条理だったり(「君の友だち」etc)、
エロがあったり(「DREAM AWAY」etc)、
間抜けなヒーローが登場したり(「かっこいいぞ、俺」etc)、
SFチックだったり(「アーノルド」etc)、
『ワイルド・マウンテン』のような長編があり、
『本秀康の描く4ページ』のような短編から、イラストまでをこなし、
洋楽や中古レコードには博識で(『レコスケくん』)、
ジョージ・ハリスンの熱狂的なファンで・・・。
なかなか器用で、一筋縄では論じることの難しい人気マンガ家・イラストレーターです。

現在のマンガ家では、黒田硫黄(『大日本天狗党絵詞』、『セクシーボイスアンドロボ』etc)とともに最も重要な位置にいる気がします。
両者の作風は全く違いますが・・・。


さて、そんな本秀康の作品でも異色なのが、「人生の夜明け」です。

人生の夜明け_20100926221446

主人公はシルバーアクセサリーのデザイナー。
彼の右手がある日、動かなくなってしまいます。
どの病院に行っても原因はわかりません。
仕事が出来なくなった彼からは彼女も離れていき、
故郷である京都へと失意のうちに戻ることとなりました。

彼はふと思い立って、幼い頃から大好きだった仏像に会いに行きます。
その寺には彼の大好きな普賢菩薩があり、うち2体は国宝に指定され、1体は片腕がない理由から重要文化財の指定にとどまっていました。
そもそも、彼は仏像たちから感化され、仏教美術をモチーフにしたアクセサリーで渋谷や原宿の若者に支持されていたのです。

その片腕のない仏像を見て、今の彼の境遇が共鳴してしまったのでしょうか。彼は思わず片腕の仏像をコートでくるみ、盗んでしまったのです。
家に仏像を持って帰れない彼は、ホテルに泊まります。
テレビのニュースでは大事件となっています。

「まいったな……」と彼が仏像を抱え上げると、なんと、仏像は女性に変身したのでした。
夜のデートで南禅寺の水路閣へと向かう、同じ哀しみを持った二人。
水路閣の上で、人生をやり直す気になった彼を、仏像である彼女は・・・・・・。

人生の夜明け_20100926221527

最後のオチも、はずしませんねえ・・・。


普賢菩薩が安置されているモデルのお寺は、永観堂でしょう。もちろん永観堂で有名なのは「みかえり阿弥陀」さんですが。
わずか2話で終わらせてしまうのがもったいないストーリーです。ホント本秀康って人は引き出しの多いマンガ家です。





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