--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

新撰京都名所圖會 その2

2011年05月03日 01:49

『新撰京都名所圖會』の「あとがき」を中心に、完成にいたる経緯を見てみましょう。

筆者・竹村俊則(1915(大正4)年―1999(平成11)年)は、京都生まれの京都育ち。京都市立商業実修学校卒業。

執筆の動機となる『都名所圖會』との出会いを「古本屋の店頭で同書を手にしたのはまだ十四・五才ごろのことであつたが、子供心にもいたく感銘をうけ、これと同じような昭和時代の京都をえがいた新しい名所圖會があれば、今昔對照ができて、さぞ楽しいことであろうと思つた」といい、特に竹原春朝斎の描く鳥瞰図の挿絵に大きな感銘を受けたようです。

また、他に影響を受けた作品として特記しているのが、吉田初三郎の「京都交通名所圖會」(1928(昭和3)年、4枚綴り)。これは表面に色彩豊かな図会が描かれ、裏面に京都案内が掲載されている逸品です。

京都交通名所圖會 洛東
〈京都交通名所圖會 洛東〉

吉田初三郎(1884年―1955年)は大正から昭和にかけて活躍した鳥瞰図絵師で、彼の処女作「京阪電車御案内」(1914年)は修学旅行で京阪電車に搭乗した皇太子時代の昭和天皇にたいそう褒められたというエピソードを持つ人物でした。

竹村の在学中に昭和御大典(即位の礼)があり、学習用に頒布された「京都交通名所圖會」の圖帳に探求心をそそられ、さらに高山樗牛の「滝口入道」を読んで感動し、鳥羽の恋塚や嵯峨の祇王寺、滝口寺址などを訪ねたことが史蹟探訪の始まりだったのだとか。

新撰京都名所圖會 巻二 祇王寺 滝口寺
〈祇王寺 滝口寺(『新撰京都名所圖會』巻二) 史蹟探訪のきっかけともなった「滝口入道」ゆかりの祇王寺、滝口寺も、もちろん掲載されています〉

そして竹村が本格的に郷土史研究に身を入れるようになるのは、戦後。京都の有名な郷土史家であった田中緑紅(1891年―1969年)に師事し、1952(昭和27)年には帝大出身の古代史研究家・藪田嘉一郎(1905年―1976年)と「京都史蹟研究會」を創立。地道に実地研究を重ねてきた歳月が、後の『新撰京都名所圖會』執筆作業に活かされるのです。

いつしか自らの「名所図会」を出版したいとの構想を持ち続けていた竹村でしたが、無名に近い一介の郷土史家に出版を任せてくれる奇特な出版社は、そうありません。
そこで自費出版として出すことを決意し、京都府庁での役人生活をやめ一攫千金を狙って事業界へと身を転じたようです。が、事業は失敗。

そんな時に、詩人であり白川書院(後に廃業し、現在の白川書院とは別組織)を主宰していた臼井喜之介(1913年―1974年)の編集する観光趣味雑誌『東京と京都』に原稿執筆の依頼を受けたのです。かねてから思い描いていた「名所図会」の下書きをしてみようと軽い気持ちで掲載を請け負ったことが、後の大著『新撰京都名所圖會』へと繋がります。第一回掲載は1957(昭和32)年5月発行の『東京と京都』6月号でした。

新撰京都名所圖會 巻四 河原町三条
〈河原町三条(『新撰京都名所圖會』巻四)〉





コメント

  1. みぃにゃん | URL | 2sQQXnjA

    名所図会は色々と有りますね。

    名所図会…京都に住んでいると、さすがに、京都の名所図会には、参考図書や、郷土資料の書棚に、ある場合が多いです。
    でも、大阪にも、浪花名所図会(国会図書館で有る程度デジタル化公開資料が在る。)摂津名所図会など、色々在って、面白く、興味深いです。
    でも、地理書、歴史書では有りませんから、それだけでは、足らないし。
    社寺を調べたりするときは、他の資料探しが、結構たいへんです。
    (^^♪

  2. t.okuno | URL | -

    みいにゃんさん、コメントありがとうございます。
    名所図会は、どの地方のものも見ていて面白いですね。最近は江戸名所図会にはまっております。

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://2ndkyotoism.blog101.fc2.com/tb.php/246-a6c90312
この記事へのトラックバック


Twitterボタン

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。