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晩春

2011年05月06日 00:10

晩春 監督・小津安二郎 1949年

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原作は広津和郎の小説『父と娘』で、野田高梧と小津安二郎の共同脚本です。

原節子にとってはこれが小津作品初出演で、原節子と笠智衆の共演もこの作品が初めてで。
象徴的な小津映画の形が作られたのが、この作品からという記念碑的作品でもあります。



大学教授の曾宮周吉(笠智衆)は妻を亡くしてから、娘の紀子(原節子)と二人、鎌倉で暮らしています。
周吉の気がかりは27歳になった紀子の結婚。
父娘のお互いがお互いの行く末を心配していますが、本音では親離れできない娘と、子離れできない親に過ぎません。

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周吉は後妻を娶ると嘘をついてまで、妹である田口まさ(杉村春子)がもってきた縁談話を紀子にすすめ、ついには結婚を決意させます。
二人は最後の思い出にと、京都旅行に出かけるのです。
親子水入らずの旅館での夜、まだ結婚を迷っている紀子に周吉は父親として夫婦のあり方を蕩々と説き、紀子は踏ん切りをつけます。
しかし、紀子が嫁いだ夜、一人家にいる周吉はリンゴの皮をむきながら娘のことを思い、うなだれるのでした。

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この映画は、様々な議論の的にもなりました。
その中でも特に、旅館での父娘ふたりきりの夜のシーン。ここで、壺のカットが挿入される意味を巡っては多くの評論家が論じてきましたが、劇中の小道具を使って、登場人物の感情をあらわそうとする手法は、この頃の小津独自の演出手法の特徴です。

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ま、しかし、そんな小難しいことはさておいて・・・、

周吉の妹で、紀子の叔母である田口まさを演じる杉村春子の演技がいいのです。さすがこの人、後に文化勲章を辞退するだけのことはありますネ。

誰よりも紀子の結婚が気がかりな、まさ。彼女が兄の周吉とともに紀子のお見合いの手応えを案じる鶴岡八幡宮での場面。境内で、がま口を拾い「こりゃ運がいいわよ」と懐にしまって、はしゃぐように階段に駆けていくシーン。

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また、結婚式で紀子が旅立つ日、忘れ物はないかとクルッと部屋を一周して見回すシーン。

そして、紀子の結婚相手“佐竹熊太郎”の呼び方を思案し、「熊太郎さんなんて山賊呼んでるみたいだし、熊さんなんて言や八つさんみたいだし・・・。だからってって、熊ちゃんとも呼べないじゃないの。・・・だからあたしクーちゃんと言おうと思ってるんだけど・・・」と兄の周吉にうれしそうに提案しているシーン。

こういった、どうでもいい会話や振る舞いこそが、小津作品のリアリティの神髄なのです。
それでいて、ゲーリー・クーパーに似ているという肝心の紀子の結婚相手は最後まで画面に出さないところとか・・・(笑)。

無駄とも思える会話こそが、小津映画のよさである一方、父親役の笠智衆が同じ言葉を繰り返す会話は・・・くどいです(まあ、これは、どの小津作品にも共通するくどさですが)。


さて、映画終盤の京都旅行でのシーンは、わずかに清水寺の舞台と龍安寺の石庭が登場するくらいなものでした。

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