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祇園の姉妹 その3

2011年02月21日 00:59

祇園の姉妹 監督・溝口健二 1936年 第一映画社

祇園の姉妹_0001


こちらがオリジナルの『祇園の姉妹』です。紹介としては前後しましたね。
原作・溝口健二。脚色・依田義賢。

『祇園の姉妹』を制作した第一映画社とは、日活を退社した永田雅一(のちに大映を設立)によって設立された映画会社です。
その活動期間は短かったものの(1934年の設立から2年後に解散)、溝口健二監督の代表作となる『浪花悲歌(なにわエレジー)』『祇園の姉妹』は第一映画社の作品で、この二作品は現在も日本映画の傑作として語り継がれています。


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〈主演の芸妓・おもちゃ役の山田五十鈴。当時19歳ですが、すでに一児(のちに女優となる瑳峨三智子)の母親でした。実生活での母娘は、ほぼ没交渉だったらしいですが・・・。〉


さて、その傑作の所以ですが・・・。

当然のことながら、今でこそリアリズムやドキュメンタリータッチの作品は珍しくもありませんが、1936年当時、実際の花街にカメラを持ち込み、芸者のありのままの生態を事実に即したかたちで撮影したことは、画期的な出来事でした。シナリオも撮影時の読み合わせで不自然な部分を書き直すほどの徹底さだったとか。
もちろん、祇園の生の生活や人間を描いたため、祇園に生きる人びとからはかなりの不評を買ったようです。


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〈八坂神社の境内を歩く姉の梅吉(梅村蓉子)と妹のおもちゃ(山田五十鈴)〉


溝口健二の弟子でもある映画監督・新藤兼人は、従来の日本映画が持っていたメロドラマ性から脱却した、“溝口リアリズム”とも言うべき新たな作品が出現した理由として次のように述べています(要約です)。

それまでの映画は女性の涙を誘うものばかり。それなりに立派な作品もあるが、それらとは根本的に違った、人間の本質に迫る演出が行われた。
第一映画はこの二作(『浪花悲歌』『祇園の姉妹』)をもって潰れるが、潰れる最後の作品として思い切った作り方ができた。依田義賢という新人のシナリオを使えたのもその一つ。
溝口演出の秘密とは、新しい技術やカメラワークではなく、人と人とが向かい合い丁々発止で気持ちをぶつけ合うこと。それが人間描写であり、人間像が浮かび上がってくるというやり方。この二作をつくった自信が溝口健二の基礎をつくった。


WS000119.jpg 〈八坂下〉


この『祇園の姉妹』、封切り時は92分の作品だったものが、現在は69分しか見ることはできません。
そして、本作のオマージュとして1956年に制作された野村浩将監督の『祇園の姉妹』(大映)と、ほぼ同じあらすじですが、
オリジナルでの姉妹は三姉妹ではなく(中村玉緒演じる美津丸はいません)、さらに妹芸者(横溝作品では「おもちゃ」、野村作品では「美津ひろ」)に着物を貢ぐ木村が、溝口作品では裏切られた後、冷徹な悪人となって妹芸者に仕返しをします。



ただ、主人公・おもちゃの言動にはまったく共感出来ないばかりか、不快です・・・。

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〈下着姿の山本五十鈴ですが、この頃からすれば、これも体当たりの演技なのでしょう〉

「あてらみたいに女学校を出て芸妓になったようなもんにはようわかるわ。ここらに遊びに来はる男はんちゅうたら、みんなお金であてらを慰みものにすることだけを目的に来はんにゃないか。そうと違う男はんが一人でもいはるか」
「何で芸妓みたいな商売、この世の中にあんにゃ。なんでなけりゃならんにゃ。こんなもん間違うても・・・こんなもんなかったらええんや」

これらは、おもちゃが姉の梅吉に言うセリフですが、嫌だったら、文句ばっかり言っていないで、芸者なんて辞めちまえ・・・と言ってしまえばそれまででしょうが(笑)。
文句ばかりたらたらと言って、その結果が、男に恨まれて円タク(昔のタクシーの呼び方です)から突き落とされての大怪我。自業自得っ。


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〈呉服屋の番頭・木村保役は深見泰三〉

この『祇園の姉妹』に登場する男や女ばかりだったら、とっくの昔に祇園町なんていうものは潰れてしまっています・・・。


その点、1956年版の野村作品では、最後に“救い”を書き加えました。ラストの違いから、野村作品を駄作と捉える人もいるようですが、1956年版の方が、より“人間”が描けていると思うのです。

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〈呉服屋の主人・工藤三五郎役は進藤英太郎。工藤の妻役は、いわま櫻子。進藤英太郎は1956年の『祇園の姉妹』にも同じ役で出演しています。〉






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