--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

三月の乾き その3

2011年01月10日 01:15

まあ、そんな時代のことが、つらつらと描かれているのが兵頭正俊氏の『三月の乾き』なのです。(前述の新聞社事件は、どちらかというと反代々木系の立場からの説明になっちゃいました。というのも描かれている登場人物の立場が反代々木系だからです)。
立命館大学でも多くの退学者や教員の辞職が相次いだようですが、学校を辞めるだけなら、「あっ、そう」のひと言で済みますが、後遺症の残る怪我をしたり、失明をしたり、あるいは自殺した人たちにとっては・・・この運動って何だったんでしょうね。


さて、学生運動かぶれの予備校生が主人公だった、松原好之著『京都よ、わが情念のはるかな飛翔を支えよ』(1979年)が、あまりにおもしろくなかったせいで、全共闘運動の時代を描く『三月の乾き』も期待せずに読んだのですが・・・、
おもしろいとは言えないまでも、当時の空気感は充分感じられる作品でした。


20101217193723ab9[1]
〈京都府立医科大学附属図書館の南東にひっそりと佇む「立命館学園発祥之地」の碑〉


もちろん、青臭い頭でっかちの学生が長々と吐き出す大袈裟なセリフや、全共闘時代に馴染みのない人間には大時代的に思える観念的なコトバの羅列がページを覆い(全共闘世代は人の話を聞かず、持論を最後まで展開しなければ気の済まない人たちばかりですから・・・(笑))、2、3ページを一気に飛ばして読みたくもなる退屈な場面もありますが、群像劇の形式をとり、飽きてきた頃には別の人物の視点に移っているので、そう、気詰まりという感じではありません。ただ小説としての描写には、もう少し力を入れて欲しかったでしょうか。

まあ、実際、立命館大学で全共闘の時代を知っている人たちが読めば、当時のことを思い出せるノスタルジー小説にはなっていると思います。


高野悦子さんがたびたび通った荒神口のジャズ喫茶「しあんくれーる」は、今はもうありませんが、『三月の乾き』に再三登場する三条河原町の喫茶店「六曜社」は今も営業しています。


20101217193613b39[1]
〈荒神口の交差点。写真、赤信号下のガレージとなっている角地がかつてジャズ喫茶「しあんくれーる」のあった場所〉

R大やD大、K大とあまり意味のない匿名を用いて描いているこの作品ですが、珍しく実名でたびたび登場する喫茶店「六曜社」。バリケードに出入りしている学生の溜まり場だったそうですが、著者にとっても、ひとしお思い入れの深い場所だったんでしょうね(ちなみに、高野悦子さんの『二十歳の原点』でも「ろくよう」として六曜社が、さらに数軒隣にあった「裏窓」という喫茶店などが登場しています)。

2010121719361409c[1]
〈三条河原町の喫茶店「六曜社」〉






コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://2ndkyotoism.blog101.fc2.com/tb.php/104-e9cd380f
    この記事へのトラックバック


    Twitterボタン

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。