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はじめまして

2010年08月19日 14:35

はじめまして。

第二京都主義なんて、かた苦しい名前のブログをひらいてみました。

第二とは、ただなんとなくマイナーという意味合いで・・・。

もしくは第二芸術論の“第二”と同義とでも思っていただければ・・・。

そして、書かれる文章もつれづれなるままの二流文章ってことで、ご勘弁を(笑)

はて、さて、どんなブログになるのやら・・・。

三日坊主ならぬ、二日坊主にならないようにっ。



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ヒポクラテスたち その1

2010年08月23日 16:41

ヒポクラテスたち 監督・大森一樹 1980年 ATG

ヒポクラテスたち DVD
 
青春って、いつの時代も騒々しいものなんです。
騒げば将来に対する不安を振り払えるとでも思っているのでしょうか(笑)。

それにしても、この映画は素晴らしい青春群像劇です。
1980年度キネマ旬報ベストテン日本映画部門第3位(1位は『ツィゴイネルワイゼン』で・・・9位には『狂い咲きサンダーロード』が入っていますネ)。

さて、『ヒポクラテスたち』の主人公は古尾谷雅人演じる洛北医科大学6回生の荻野愛作。
彼を取り巻く臨床実習仲間や、寮仲間との日常を描いた作品です。

医大の最終学年はポリクリと呼ばれる臨床実習にあてられ、
6、7名に分けられた学生グループが、内科や外科やさらには眼科まで、17くらいの科を一週間毎のローテーションでまわり、
自分が専門的にどの科に進むのかを決めるのです。
描かれているのは、生と死の狭間で、少なからずの死に直面し、苦悩と不安に揺れる医者の卵の姿。

ヒポクラテスたちWS000034_convert_20100823191049〈三条京阪の歩道橋〉

時代は1970年代の後半あたり。舞台は京都。
まだ学生運動の残り火もくすぶり、寮の中では右の思想から、左の思想まで、そして学生運動をドロップした者もいて、
内ゲバならぬ“プチゲバ”(ちょっとした喧嘩のことね・・・)があったり。
医療現場の現実と社会の矛盾、そして自分の理想とのギャップに戸惑い、頼りないながらも真摯に生きている学生の姿はリアルで切実です。
といっても、全編を通して“軽み”をもって描かれ、その軽快なタッチがさらに青春度を増しているのですが。

今見ると、通りを走るバスや車のかたちも古めかしく、
三条京阪には歩道橋があったり(もちろん、京阪電車はまだ地上を走っていて、三条から出町柳の間は路線すらもありません)、
そう、バブルの狂騒もまだ来ていなかった京都の懐かしい風景が、ことさら郷愁を誘うのです。

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〈荒神橋のたもとの喫茶店「リバーバンク」〉

よくもまあ、これだけの登場人物がいて、話が破綻もせず、
なによりすべての人物が印象に残る作品も珍しい。
京都府立医大出身の監督が、しかもその大学をモデルにして制作しただけに(登場人物にまでモデルがいたのかどうかは知りませんが)、映画作りへの思いもひとしおだったのでしょう。
そして、今はもう引退してしまったであろう学生役の俳優たちも、画面の中でみんなキラキラしているのが、さらに切なさを募らせます。

はたして今の医学生は、こんな映画があったことを知っているんでしょうか。



ヒポクラテスたち その2

2010年08月24日 00:25

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舞台は洛北医科大学(モデルは大森監督が通っていた京都府立医科大学)。

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荒神橋のたもとにある喫茶店「リバーバンク」にて。
ポリクリグループの紅一点・伊藤蘭演じる木村みどり。もちろん一服のたばこは「蘭」。

この映画は、古尾谷雅人の一般作品デビュー作で、斉藤洋介と内藤剛志のデビュー作、
そしてキャンディーズを引退した伊藤蘭の復帰作として有名ですが、
映画に出そうもない大物が端役で顔を出していることにも驚きです。
新人だった大森監督になぜこれほどの人脈があったのでしょうか?

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小児科役でベレー帽を脱いだ手塚治虫。
監督から指摘されるまで、ベレー帽をかぶったまま、出演しようとしていたのだとか(笑)。
後年、ベレー帽をとって人前に出たのはこの時が唯一だったようで。
                                      
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病院専門のコソ泥役で鈴木清順。
この年のキネ旬日本映画部門第1位は、この方が監督の『ツィゴイネルワイゼン』でした。

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自切俳人(ジキルハイド)名義で出演の北山修。フォークルから九州大学教授に転身した凄い人です。この頃は大学教授になる前の、精神科医として開業していた頃でしょうか。
役の上では、北山修がポリクリ学生に向かって、ビートルズの医学に対する功績を説いていました。
イギリスのEMIがCTスキャンを開発し、EMI中央研究所の主任だったハウンズフィールドが、ノーベル賞をもらったと。そして、ビートルズの大ヒットがなければ、この機械はなかったかもしれない・・・どうやら、本当の話です。
しかし、北山センセイが定年退官でザ・フォーク・クルセダーズ復活かと思いきや、加藤和彦が自殺するなんて。もう復活はないんですねえ・・・(ちなみにメンバーは、坂崎幸之助ではなく、はしだのりひこしか認めない派です)。

ほかにも、教授役で原田芳雄や、写真屋のちょい役で森本レオ(大森監督の前作にして商業デビュー作『オレンジロード急行』に主演していました)なども出ています。

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しかしなんといっても注目は、『仮面の忍者赤影』の青影役でおなじみ、金子吉延さんが寮生として出演しているところでしょうか。
たぶんこの作品が俳優としての最後の作品だったのではないでしょうか? 

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鴨川寮のモデルは今も健在の「YMCA橘井寮」。

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主人公・荻野愛作の恋人・中原順子。
大学の図書館に勤めていたが、堕胎手術をした産婦人科が闇医者で、体調を崩し失意の内に故郷・舞鶴に帰るという悲しい役どころです。
ちなみに中原順子役は真喜志きさ子。
美しい方ですが、この人もはやくに引退してしまったようです。


おまけ。
早朝から、映画フリーク高木の騒音で起こされた本田さん(斉藤洋介)の名言。
本田「今日は早起きでちょうどよかったんや」
荻野「なんですか、こんな朝早くから」
本田「デモバイト」

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葵祭をいにしえの衣装で颯爽と歩く本田さんです。


そして、この映画は音楽もすこぶるいい!
「ダウンタウンブキウギバンド」の千野秀一が担当していますが、
どうしてATG作品の音楽って、こうも印象深いものが多いのでしょう?
『Keiko』(監督・クロード・ガ二オン、1979年)の深町純のシンセサイザーしかり、
『ガキ帝国』(監督・井筒和幸、1981年)の山本公成のサックスしかり。

最後に・・・、残念ながら大森一樹作品でほかに見るべきものは、
デビュー作『オレンジロード急行』(1978年)と『風の歌を聴け』(1981年)くらいなものでしょうか・・・。
(蛇足ですが、『風の歌を聴け』の配役で主人公が小林薫なのはやっぱり違和感が(笑)。比して、鼠役の巻上公一はいい!)

井筒和幸監督が『ガキ帝国』(1981年)から四半世紀経って『パッチギ!』(2005年)という名作を生み出したように、
大森一樹ももう一度、復活してほしい監督なんですけどね。



酒場ミモザ その1

2010年08月25日 23:27

酒場ミモザ 著者・とだともこ 1992年~1996年

酒場ミモザ 1巻 酒場ミモザ 2巻 酒場ミモザ 3巻

今回はカルト的人気マンガの紹介です。
その名は『酒場ミモザ』。
すごく月並みな表現ですが、「ほっこり」という言葉がとても似合う作品です。

舞台は京都三条にある、座席7席だけの古びた小さなバー。
そこに集う常連客の他愛もない交流を描いています。
事件が起こったり、華々しい出来事があったり・・・ということは、間違ってもないです(笑)。

1992年から「月刊アフタヌーン」に掲載され、
単行本としても全4巻が発刊されましたが、後に絶版となっています。
その希少性が、さらに作品の評価をあげているのでしょう。


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主人公の女の子は、作者を想起させる芸大を出た絵描きの卵。
主人公といっても、彼女の視点で描かれるわけではなく、あくまで第三者的な立場で控えめに画面の中に登場しています。
むしろ、主人公の一歩引いたこの立ち位置によって、
バーで繰り広げられる常連の会話やエピソードが、
あたかもマンガの読み手がカウンターに座って傍らで話を聞いているような心地よさにさせているのです。

そして登場する常連客もなんとも個性的。この“なんとも”加減もちょうどいいんです。
会社員、大学教授、ミステリー作家、露天商の青年、学生運動くずれの農業家、東京から足繁く通う脚本家、OL、芸者、マスターの娘やその恋人・・・。
登場人物もほとんど実在した方たちのようですよ。

そんな個性的な客に対して、京都の風物に博識のマスターが、鼻につくわけでもなく、うんちくを語ってくれます。
ただしこのマスター、ちょっと京都弁が濃すぎるんですけどね。

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経歴によると当時の作者は京都市立芸術大学出身の売れない画家ということですが、
失礼ながら、素人目にもけっして絵が上手いという感じではありません。
登場人物の顔の雑なこと・・・とくに主人公なんて(笑)。

作者によれば、図書館でマンガのハウツー本を借り、4ヵ月で4話32ページを書き上げたそうですが、
画質の拙さは、むしろ作者の情熱の勢いを表しているようで、いい味を醸しています。
本当にこのバーのことが好きだったのでしょう。
そして改めて思うのは、絵の魅力とは、上手い下手ではないのです。
作品中に出てくる総菜や突き出しや料理の数々も何ともおいしそう。そして登場人物も表情豊かに見えてしまうのです。

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にしんずし、さばずし、夏の和菓子、かぼちゃの煮物、棒だらと里芋を煮た芋棒、湯豆腐、かぶら蒸し、・・・。
さばずしのツンとする匂いが漂ってきたり、かぶら蒸しの湯気も目に見えるようです。いやホントに(笑)。


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売れないミステリー作家の白河さんが大賞を獲り、黄色いハンカチ付きの風船を掲げ、常連客が祝う場面。


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元学生運動家の秋田さんが、学生の時につきあっていた恋人・キクちゃんの息子とミモザで出会い、
馴染みの店へと連れ回し、酒飲みの手ほどきをするエピソード。


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とにかく地元の人間も忘れてしまった、地の京都がふんだんに盛り込まれています。


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時は建都1200年で湧く京都。景観で問題となった京都ホテルもまだ建設中です。


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構想に煮詰まると、たびたび東京から訪れる脚本家のカベさん。



酒場ミモザ その2

2010年08月26日 00:07

酒場ミモザ 復刻版

「ミモザ」のモデルは、河原町三条を二筋下がった小路に実際にあったバー「リラ亭」で、1990年、マスターの死によって惜しまれながら閉店したそうです。
その後、マンガにも登場する常連客によって「カリン亭」として受け継がれ再開しましたが、2000年にはその店も閉店したとのこと。

また「リラ亭」は、加藤登紀子が歌う『時代遅れの酒場』のモデルにもなりましたが、マンガの印象と歌の感じとはいまいちリンクしないですねえ・・・。
印象の違いは、学生上がりの作者と、加藤登紀子の歩んできた人生の違いでしょうか(いや、重いとか軽いとかって訳じゃないんですよ・・・)。
訪れる人によって印象の変わる飲み屋っていうのは、店主のエゴが少なそうで、なんだか好感がもてます。


“とだともこ”さんは、現在“ほうさいともこ”として(たぶん結婚されて名字が変わったのですね)、寡作ながら、たまにマンガも書かれているようです。
2008年12月号の「月刊アフタヌーン」では、10年ぶりに読み切りとして「もりもり」という作品を書いていました。
それは、京都白川近くの姉弟が営む居酒屋が舞台の人情話。
画力はミモザ時代よりも数段上がったように思えますが、作品の“味”としては、ミモザの方がはるかに・・・上ですね。

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そして2010年5月には、ぶんか社より復刻版『酒場ミモザ』が発刊されました。
1巻から3巻までの中から、20のエピソードが入っていますから、なかなか手に入らないことを考えれば、
これで『酒場ミモザ』の世界観を手っ取り早く味わえます(出来ることなら、全4巻をそのまま復刻してほしかった)。

ただ、興味深いのは、復刻版のあとがきにあった制作当初のエピソードと、連載を打ち切った経緯です。
2代目のマスターに自分のふんどしで相撲を取れと引導を渡されたから、とのこと。
現在は法廷画家をしながら、今後もマンガとの二足のわらじでいきたいと決意を語っていらっしゃったので、
これからもほうさいさんのマンガは読めるようで何よりです。

でもね、他人のふんどしと言っても、誰の人生も所詮、他人のふんどしで相撲を取っているようなものじゃないですか?(笑)。



追記。

自分の周りで、モデルとなったバーを知っている人間がいないかと気にかけていましたら、
何度か行ったことのある人がすぐ近くにいました。
穏和そうなマスターで、外見の印象としては柳原良平がデザインした
トリスウイスキーのイメージキャラクターのおじさんに似ていたとか(行ったことのある方、どうですか?)。
レコードの汚れを食器用洗剤で拭き取って、プレーヤーに掛けたり、
店が混んでくると客がカウンターの中に入ってワイワイと繁盛していた店のようです。

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今では『酒場ミモザ』の古本価格もびっくりするほど高騰しちゃってます(AMAZONで調べてみると、なかなか手に入らない第4巻にいたっては6千円!)。
ちなみに、ごく稀にですが、大手古本店のネット販売で数百円で売られていることもありますので、全編を読みたい方は辛抱強くさがしてみましょう。

これだけ偉そうに語って今さら言うのもなんですが・・・実は第4巻は持っていません。
何千円も出してまで、買う気にならないというよりも、
自分の中では、まだこの物語を完結させたくないのかもしれません・・・。

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