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祇園囃子 その1

2010年11月21日 00:20

祇園囃子 監督・溝口健二 1953年 大映

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監督はいわずと知れた世界の巨匠・ミゾグチで、名作として語り継がれる『祇園囃子』なのですが・・・、初めて観た時は大して感慨が湧かなかったですねえ(まあ、有り体に言えば「これが名作?」と拍子抜けしました)。
ところが、何度か観ていると、味がにじみ出てくる・・・そんな作品です。
原作は川口松太郎、脚本は依田義賢、そして撮影は宮川一夫です。


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上七軒の芸者の娘・榮子(若尾文子)は母が亡くなり、祇園の売れっ子芸妓・美代春(木暮実千代)の元を訪れます。
母の旦那で実の父でもある沢本(進藤英太郎)は商売に失敗し、妾の娘まで面倒を見る甲斐性はありません。
母のような舞妓になりたい、という榮子の熱意にほだされ、美代春は榮子をあずかることに決めますが・・・。

旦那制度という花街のしきたりをものともせず、ひとり気ままな生き方を貫いてきた芸妓・美代春。
そんな彼女が、自分を慕ってくれる妹分の舞妓が起こした失態の後始末のため、嫌な客と一夜をともにしてしまう、という哀しくも美しい人情噺なのです。


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若尾文子は着物姿で舞妓さんの髪型になると、首の長さが際立ち頭が大きく映ります。それが、撮影当時19歳の実年齢を、さらに若く“おぼこく”見せているのですね。


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洋風の顔立ちの木暮実千代の芸妓姿には最初違和感がありますが、この人の白い顔色はモノクロ画面に映えます。


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女将役の浪花千栄子。嫌みな役ですが、早口でまくし立てる勢いと、ところどころの間がかもす迫力は一級品ですね。 



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祇園囃子 その2

2010年11月21日 00:24

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一年かけて、お茶、鉦、太鼓、鼓、三味線、踊り、と仕込み修行をこなしていく榮子。
店出しにはお金もかかります。美代春はお茶屋の女将に30万円もの大金を借り、ようやく榮子は“美代榮”として舞妓になることが出来たのです。


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榮子の初めてのお茶席では、車両会社の専務・楠田(河津清三郎)と部下の佐伯(菅井一郎)が、役所の課長・神崎(小柴幹治)を相手に接待していました。8千万円もの受注がもらえるかどうかの瀬戸際です。
美代春を気に入った神崎のために、楠田と佐伯は美代春をあてがい、商談の成功を企てます。一方、女将は専務の楠田を榮子の旦那にしようと美代春に相談します。
そう、時代は戦後とはいえ、まだ旦那の身請けという陋習が公然とあった頃のお話です。
女将は心の底では、金の回収しか頭にありません。男は女を商談の持ち札としか思っていません。
しかし、特定の旦那を持たず、祇園で気楽に生きてきた美代春にとって、榮子が旦那をとるということには気乗りがしないのです。


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突然、楠田に襲われ驚いた榮子が、楠田の舌を噛み重傷を負わせてしまいます。この事態に怒り心頭なのは、お茶屋の女将。自分の顔を潰された上に、お得意である楠田を取り逃しかねないのですから。
楠田を病院に見舞った女将は、部下の佐伯から提案されます。仕事を受注するためにも、楠田の怪我の件はともかく、美代春と神崎を一緒にさせたいと。神崎の機嫌を取り戻しさえすれば、今回の失態は許してやるというのです。

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立て替えた30万円を盾に、美代春に神崎との関係を迫る女将。しかし、金は「何とかして、お返しします」と、美代春は頑なに断ります。
その日から、祇園のお茶屋中から美代春と榮子の二人には声がかからなくなりました。祇園祭が近づき、町は活気であふれているというのに・・・。
自分のせいだと塞ぎ込んだ榮子は、女将に謝りに行きますが、女将はこれ幸いと、美代春が来なければ榮子はこのまま帰さないと電話をかけてくるのです。

そして、榮子の身を心配する美代春は好きでもない神崎の元に行き、一夜をともにしたのでした。

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アプレゲールで無邪気な妹と、アバンゲールでしっかり者の姉。対照的なふたりが血のつながりよりも強い、花街に生きる孤独者同士の絆で結ばれている姿が、この物語のすべてなのです。





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