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安寿子の靴 その1

2010年11月15日 00:04

安寿子の靴 脚本・唐十郎 演出・三枝健起 1984年


極私的、テレビドラマ名作NO.1に認定ですっ!

「安寿子の靴(やすこのくつ)」は、1984年10月、NHKのドラマスペシャルで90分にわたり放送された単発ドラマです。
脚本は唐十郎が書き下ろし、演出は三枝健起が担当。
この両者がコンビを組むのは「安寿子の靴」が初めてで、その後、ふたりで何本かのドラマを作っています。


家出をした幼い少女と、中学生の少年が鴨川の川辺で出会うところから物語は始まります。
少女はなぜか少年にしつこくつきまとい、少年も最初はわずらわしく思うものの、次第に亡くした姉の面影を少女の中に見るのです。
少年は姉のことが忘れられず・・・、少女は未婚の母の子として生まれ・・・、ふたりは何かを求めるように京都の町をさまよいます。
「安寿と厨子王」の物語をモチーフに、恋人でもない、兄妹でもない、年の離れた少年と少女のふれあいと切ない別れを描いています。


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なんといっても注目は、少女役の泉リリセ(のち、麻山ウランに改名)ちゃん。当時は7歳だったといいますが、たぶんこの子の人生で最も輝いていた時期がこの時だったんじゃないかという、これぞ奇跡の演技です。
かなりおませな役柄で、「ガキ!」と罵る少年に「何よ、18歳未満!」と言い返してみたり、
父親のことを尋ねられ、「正式じゃないんだって、妻と夫が。お母さん未婚の母なんだよ」と説明したり、
名前を聞かれて、「たいした名じゃありゃせん!」とすかしてみたり(笑)。

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少年役は当時15歳の大鶴義丹。俳優としてのデビュー作です。もちろん脚本を担当した実の父・唐十郎がらみでの主役抜擢だったんでしょうが、大人になってからよりも当時の方が演技はうまく、垢抜けていない分、味もありました。

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少年の姉・安寿子役にはアンニュイの代名詞・小林麻美。木訥で少しぽっちゃりした大鶴義丹と、洗練された小林麻美との姉弟は、そのアンバランスさが、亡くなった姉を慕い続ける弟の哀しさを際立たせているようにも感じます。

他にも、サラ金業者・曽根役には古尾谷雅人。かっこいいです!



(注:このあと、恒例、ネタバレありのあらすじをつらつらと書いていきますが、今ならYOUTUBEで全編見られるかも知れません。興味のある方はあらすじを読む前に検索してくださいね)



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安寿子の靴 その2

2010年11月15日 00:08

あらすじ・・・1/3です(今回は3分割になっております・・・長すぎですネ)。 



仕事の都合で母親と一週間離れることとなった幼い少女(泉リリセ)。
英会話の家庭教師(松阪隆子)に預けられるが、母親(三田和代)を見送った帰り、鴨川の橋の上で家庭教師が目を離した隙に逃げ出してしまう。

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〈橋の上で家庭教師に話しかけたのは友人役の升毅。完全なちょい役での出演です〉

学生服姿の少年(大鶴義丹)を川辺で見かけた少女は、なぜか彼にしつこくつきまとう。

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〈御池通の、しかも車道のど真ん中を爆走し、少年を追いかける少女! これだけ見ると恐怖映像です(笑)〉

鴨川の橋の上で、少女が大事にしていた小さな赤い手鏡を落とす。
川に入り、手鏡を探してやる少年。
見つけた手鏡に映り込んだのは、少年の亡くなったはずの姉(小林麻美)の幻・・・。

安寿子の靴000052 〈出雲路橋あたりでしょうか〉

少年は少女を父親のマンションに送っていくが、部屋の中では少女の父親と若い女が情事の真っ最中。
少女を連れて、マンションを出ようとするも、少女はエレベーターから降りるのを拒み、仕方なく少年はバスに乗ってひとりで家に帰る。

家に帰った少年を、少女はタクシーで追いかけてきた。
少年は両親(父親役は三谷昇、母親役は柳川慶子)に友達の妹を預かったと嘘をつく。
一日だけとの約束で少女と床を並べる少年だったが、「何か話をして」という少女のため、安寿と厨子王の物語を聞かせてやる。

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朝起きると、少女は布団をたたみ、姿を消していた。
しかし、学校が終わり、校門をでると待っていたのは、またしても少女。
次第に少年は、少女に亡くした姉の面影を映すようになる。

学校帰りに、少年は少女を伴って、安アパートに住む工藤(ジョニー大倉)の元へ赴く。
散らかった部屋の中には姉が履いていた片方だけの赤いハイヒールがあった。
工藤から金を受け取り、帰る少年と入れ違いにやってきたのは借金取りの曽根(古尾谷雅人)。

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〈借金取りから屋根を伝って逃げる工藤役のジョニー大倉〉

曽根は少年が工藤から金を受け取ったことを知ると、その金をよこせという。
少年と少女は借金取りから走って逃げる。少年の手には姉の赤い靴があった。

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〈借金取りの曽根役・古尾谷雅人! なんと四条通を走る車のボンネットの上に立ち、煙草を吸いながら颯爽と、少年と少女を追うのです! NHKのドラマとは思えない、ぶっとび映像っ!〉



安寿子の靴 その3

2010年11月15日 00:13

あらすじ・・・2/3です。 



借金取りの曽根から逃げきった少年と少女は川縁で休んでいる。
少女は赤い靴について尋ね、少年は説明する。
これは姉のもので、片方は昔、川上の深泥が池で落としてしまったのだと。
そして、工藤と姉はかつて夫婦で、姉は去年、産褥熱が原因で亡くなってしまい、赤ん坊も死産だった。

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〈ロケは宝ヶ池でしょうか。深泥が池はボートで遊ぶようなきれいな池ではありませんが、些末なことはこの物語には関係ありません〉

赤い靴は少年が姉にプレゼントした物だった。病身の父親が働けないせいで、姉夫婦から仕送りを受けていて、その感謝の気持ちが込められていた。
姉は弟から深泥が池のボートの上でプレゼントをもらった際、あまりのうれしさで、はしゃいだ拍子に片方の靴を池に落としてしまったのだった。

「これも今月で終わりだな」少年はそう言って、工藤から受け取ってきたはずの金をポケットに探すが、見あたらない。借金取りから逃げる途中で落としてしまったのだ。
落とした金を作るため、高校生と偽り飯場でのアルバイトに就くが、一緒についてきた少女に中学生だとばらされてしまう。

少年は不良の友人・中畑から5万円で年増夫人(藤田弓子)とデートをしてほしいと頼まれる。

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別れた若い男のいる飲み屋に少年と連れだって入る年増。しかし、少年は前もって払われるはずのお金のことで頭がいっぱいだった。
前金がほしいなら口で取れと言う年増。そして紙幣を口でくわえた時、外で待っていたはずの少女が店へ入ってきた。「おにいちゃん。鞄取られちゃった。あのサラ金のおじさんに!」。

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〈ニッポンのお母ちゃん・藤田弓子にこんなケバい役をさせるなんて・・・〉

川縁で少年の鞄を漁る曽根。少年の大切な赤い靴も教科書と一緒に川に投げ出されてしまった。夜の鴨川で少年と曽根との乱闘。少女も少年に加勢し、曽根を棒で殴る。

またしても曽根の元から逃げ出したふたりだったが、赤い靴は少女が隠していたのだった。
すぐに言わなかった少女に腹が立った少年は怒って頬を撲つ。
「どうして隠した!」と激高する少年に、「あなたがわたしよりもあの靴を大事にするからよ!」と大人のような口ぶりで答える少女。「かえすよ、どうせあの靴にはかないませんよ・・・」
靴は店の前のゴミ箱の中に隠してあった。

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「でも、そんな片方だけの靴、誰が履くんだろう?」「沈めるんだ・・・」「どこに?」「あの池に」「明日?」「ずっと先」「いつよ」「一人前になった時」「それいつ?」「嫁さんができた時とか・・・」「お見合いはやめた方がいいわよ」「じゃあ、恋愛」「うん!」
「その時、池にボートを漕いでいき、その人の足に履かせて落としてもらう」「すると安寿子姉さん忘れるの?」「たぶん」「じゃあ、私のことはいつ忘れるの?」「今日が週末だから・・・」「だから?」「次の週が始まる頃かな」「じゃあ、明日いっぱいしか一緒にいられないの?」「そうかもね」「どうしてさ?」「だって食わせられないもの」「あたし何も食べなくてもいい!」「でも金のかかりそうな子どもだよ」

夜の京都の繁華街を手を繋いで徘徊していたふたりだったが、少年は交番の前で足を止め、「迷子です」と巡査に突きだし走り去る。
その背に少女の「おにいちゃーん、おにいちゃーん」の声が響く。

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少年は中畑の部屋に戻った。前金をもらえなかったという少年に「今、これだけしかねーけど」と中畑は何枚かの一万円札を差し出した。とっさのことで、その一万円札を年増に命じられたように口で受け取ってしまう少年。
その屈辱的な仕草を見た中畑は「お前、そこまでやらされたのか? よし! 俺が2倍、とってきてやる!」と、年増のいる店に向かった。



安寿子の靴 その4

2010年11月15日 00:18

あらすじ・・・3/3です。 



交番を抜け出してきた少女が少年のいる中畑の部屋にやってきた。「ちょっとひどすぎるんじゃない、おにいさま。何でだよ、何であんな別れ方をするんだよ」少女は少年を責める。
「ふたり一緒の親のところに帰ろうよ、さびしい、さびしいよー」少年に甘える少女は、前に泊まった時の安寿と厨子王の話の続きを聞きたいという。

夜中、少年が寝ている横で少女は自分の髪をはさみで切る。厨子王と離ればなれになりたくなかった安寿が髪を切ったように。

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〈見事な虎刈りになってしまった少女〉

少女は夢を見た。少年とボートに乗って赤い靴を自分が履いている。それを池の中から少年の姉が受け取る夢を。

朝、中畑が部屋に帰ってきた。年増の元恋人に刺されながらも少年のために金を取ってきたのだ。しかし、すぐに警察が中畑の部屋に乗り込んでくる。

部屋に踏み込んだ警官に少女は見つかってしまう。
警察に連れて行かれた少年は「いたずらしたかったんじゃないのか?」と屈辱的な言葉を向けられるも、黙ったままでいた。

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〈取り調べの刑事には小林稔侍〉

そこに東京から少女の母親がやってきた。少女の手を引っ張り叫ぶ。「やすこ! 帰るんです。やすこ!」
「やすこ? 安寿と書く?」「ううん、こういう・・・」少年の手のひらに指で文字を書く少女。「ただのひらがな?」その横から少女の母親が「もう話しかけないで!」と少年を平手打ちにする。
「もう他人です、この話を最後に」そう言って少年は話し始める。「都へ落ちる厨子王は、自分を見送る安寿の小さな姿を振り返り、山で一緒に暮らすため、髪を切った姉のことがようやく飲み込めた・・・それは・・・」。

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少女は母親に引っ張られながら、部屋を出る。「やだよー、ふたり一緒の親を探そうと言ったじゃないかー! おにいちゃーん、おにいちゃーん」と叫びながら。
少年は少女のいなくなった部屋で話の続きを口ずさんでいた。「それは一緒に暮らすためではなかった。弟を逃がすためだった。そしてバラバラに生きるためだった。さようならやすこ。さようならやすこ。姉さんの生まれ変わり」。

警察署の前で、母親に上着を着せられる少女。風にはためく上着の裏には少女の名前が記してあった。「安寿子」と。



・・・おわりです。



1984年の放送から18年後、NHKアーカイブスでの再放送で主役のふたりは再会します。

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少女役の泉リリセ(この時は麻山ウランに改名)さんは、学業に専念するため、芸能活動をやめていました。そして卒業と同時に本格的な女優として復帰を目指していたようですが・・・。NHKアーカイブスの司会を務めていた加賀美幸子氏との応答を見ていても、残念ながらあのときの輝きは全く失われておりました・・・。


あ、そうそう、やっぱりいい映像にはいい音楽がつきものですね。音楽は中島みゆきが担当していました。

このドラマ、舞台が京都ですが登場人物に京都弁を喋らせていません。それがまたいいのです。
京都や関西が舞台だからと、イントネーションのおかしい関西弁を喋らせるのなら、いっそう標準語で演じてほしいものです。
そんなリアリティはドラマや小説に必要ないのです。まあ、うまい京都弁、関西弁なら話は別ですが・・・。





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