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色即ぜねれいしょん その1

2010年10月13日 00:26

色即ぜねれいしょん 監督・田口トモロヲ 2009年

色即ぜねれいしょんDVD


みうらじゅんの自伝的小説『色即ぜねれいしょん』(2004年、光文社刊)の映画化。

時は1974年。主人公の乾純(いぬいじゅん)は“法然高校”の一年生(法然高校って(笑))。
ボブ・ディランに憧れる童貞の文化系高校生が、フリーセックスの幻想にかられ、夏休みに友人と隠岐島のユースホステルへ。
一夏の体験が冴えない学生生活を送る彼を変えるのか・・・って話です。

法然高校のモデルはみうらじゅんの出身校・東山高校ですが、学校のシーンはすべて実際の東山高校で撮られています。
こんなバカ映画のロケに全面的に協力するとは、この高校、なかなかシャレのわかる学校ですね。



あらすじ(今回は長めで・・・もちろんネタバレです)。


乾純(渡辺大知)は、京都にある仏教系の男子高校に通う文化系の高校一年生。
学校では体育会系の学生や不良が幅をきかせ、何とも居心地が悪い。少なくとも彼らから目を付けられないようにと、地味な学生生活を送っている。

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中学から男子校に通う純は、いまだに小学校時代からの初恋の相手・足立恭子(石橋杏奈)が忘れられず、悶々と妄想に耽る日々。
不良に走りたくても、一人っ子の彼に優しい父親(リリー・フランキー)と母親(堀ちえみ)、幸せな中流家庭、どこにも不良に走る理由が見あたらない。

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深夜ラジオのDJに自分のハガキを読まれた興奮から、恭子に宛てて官製ハガキに「好きだ!!」とだけ書いて投函してしまう、無垢で愚かな童貞なのだ(笑)。

純の趣味は、通信空手とギター。いつか通信空手をマスターし、クラスの不良をボコボコになぎ倒したいと、深夜、教則本を片手に練習に励んでいる。
そして憧れのボブ・ディランのようなロック歌手になりたいと、自作の曲は50曲も作っていた。

彼の元に、ある日、家庭教師がやって来た。エロい女子大生を期待した純だったが、来たのは男、それもヒッピー風の不真面目な家庭教師(岸田繁)だった。

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勉強は教えてくれないが、一風変わった家庭教師に純は心を打ち解け、初めて母親以外の他人の前で、自作の曲を披露する。
優しく微笑んで聞いてくれる家庭教師の表情に、照れくさいやら、うれしいやら・・・。
そして、その家庭教師に初めてロック喫茶に連れて行ってもらい、酔っぱらって意識を失ってしまったり。
もちろん酔っぱらって帰ってきた彼を両親は怒らない。父親はベッドまで胃薬を持ってきてくれ、母親は「嬉しかったんやろ。お兄ちゃんが出来たみたいで」と微笑むだけ(涙)。

ある日、中学時代からの同級生・池山(森岡龍)と伊部(森田直幸)から夏休みの旅行に誘われる。行き先は、隠岐島のユースホステル。
どこから聞き入れてきた情報なのか、なんとそこにはフリーセックスの信奉者が集まり、誰もがモテモテでヤリ放題だというのだ。
日々、妄想が膨らみ続ける純は、父親と母親に後ろめたく思いながらも、旅行に行くことを決意する。

夜行列車とバス、フェリーを乗り継ぐ長い道のりも、青春を謳歌する彼らにとっては苦でもない。
しかもその道のりで、同じくユースホステルに行くオリーブ(臼田あさ美)という女性とも知り合う。
ブラジャーもせず、ピンクのタンクトップが似合う眩しく奔放な女子大生だ。

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しかし、彼らが到着したユースホステルは、フリーセックスの巣窟と呼ぶにはあまりにも地味な建物だった。
客の到着を待つユースホステルのヘルパーには、ヒゲゴジラ(峯田和伸)とアキちゃん(山本浩司)。どちらも彼ら高校生にとっては気のいい兄貴分だ。特にヒゲゴジラのギターの巧さに純は憧れを抱く。
夜、オリエンテーションの自己紹介で、純は旅の目的を「フリーセックスを求めてやってきた」とうっかり白状してしまう。一瞬の沈黙の後、キャンプファイヤーを囲んだ宿泊客は大笑い。

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ようやく、フリーセックスは幻想だということを3人は知るが、時すでに遅し。彼ら3人のニックネームが“フリーセックス”になってしまった(笑)。

彼らの元を通り過ぎていくだけであるはずのユースホステルの客との別れに感傷的になり、ヒゲゴジラが語る学生運動からの挫折話に、3人は自分たちの知らなかった世界を垣間見る・・・。

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純は、一足早く島を離れるオリーブを、池山と伊部に抜け駆けして、ひとりフェリー乗り場へと見送りに行く。
そこで、フェリーの上からオリーブは純に向けて一枚の紙切れを丸めて海に投げ込んだ。泳げないはずの純が夢中で飛び込んで拾うと、そこにはオリーブの電話番号が口紅で書いてあった。

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(あらすじは・・・まだつづきます・・・)



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色即ぜねれいしょん その2

2010年10月13日 00:38

(あらすじの・・・つづきです)


夏休みが明けた二学期。伊部は夏休み中の不良モードをそのまま引きずり不良たちと付き合うようになり、貧しい家庭の池山は学費の安い定時制の高校に変わろうかと悩んでいた。
ふと我に返ると、純自身だけが何も変わっていない空虚な元の学生生活を送っているように思えた。

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文化祭の季節が近づいてきた。須藤(古川雄弥)を中心とした不良グループはキャロルのコピーバンドでステージに出演すると意気込み、楽器の出来る純はバックバンドのギターに強引に誘われる。

そんな相変わらず冴えない学生生活の中、オリーブとデートをすることに成功した純。オリーブが純の家に行きたいと言い連れて帰るが、両親はびっくり。

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オリーブの為に作った曲を部屋で演奏する純に、彼女は島での失恋を語る。なんとヒゲゴジラがオリーブの恋人だったのだ。
外に食事に行ってどこかに泊まろうというオリーブと夜のデートに行く純だったが、鴨川の川縁で他のカップルと並んで喋っていても気乗りがしない。
あれほど悶々としていた童貞を捨てるチャンスも、初恋の相手・恭子の顔が浮かんでしまうのだった。
純の気持ちを察したオリーブは「ありがとう、純」とだけ言い残し、彼の元から去って行った。

宗教の授業中、色即是空の意味を習う。一番大事なことは今を生きるということ、との教師(塩見三省)の言葉に心動かされた純は、ひとりでステージに出ること決意する。コピーバンドではなく、自分の歌を歌うのだと。
しかし、人の知らない曲を歌ってみんなに受けるのかどうか自信がない。家庭教師に相談すると「音楽は武器なんや。通信空手よりも強い武器やで」と後押しされる。

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須藤らのバンド“法然ズ”が演奏したのは「パーリ帰依文」。毎月25日の聖日に講堂に並ばされて歌う宗教歌だ(笑)。ロックテイストにアレンジされたむちゃくちゃな演奏を控え室で聴いた純は度肝を抜かれる。不良たちを中心に講堂が一体となって皆がのっていたのだ。

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純は歌おうとしていた曲を急遽変更する。須藤のステージを見るまでは、もっと感傷的で、自己中心的で、要するに格好をつけた曲を歌おうとしていたのだ。
ステージに立った純は、エロ映画を見てムラムラする気持ちで作った曲や、とうてい人前で演奏しようなんて思っていなかった恥ずかしい曲を必死でシャウトしていた。会場は割れんばかりの拍手、そして喝采。

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ステージの余韻に浸りいい気になって、伊部と池山とで学校近くの喫茶店に入る。すると、そこでは須藤らが煙草を吸っていた。
ビクビクする純に須藤は話しかけた。「あれお前、ちょっとかっこよかったな」。

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(あらすじは・・・やっとおわりです、ちと長すぎましたね)



俳優やナレーターとして活躍する田口トモロヲですが、映画監督としては『アイデン&ティティ』(2003年、原作・みうらじゅん、脚本・宮藤官九郎)以来、これが2本目の作品です。

かつてダメ高校生の物語といえば、大槻ケンヂの『グミ・チョコレート・パイン』がありましたが、それを遥かに超える名作ではないでしょうか。
大槻ケンヂの原作をケラリーノ・サンドロヴィッチが監督をしたように、
みうらじゅんの盟友・田口トモロヲが、いい具合に原作『色即ぜねれいしょん』の世界観を壊すことなく映像へ移し替えることに成功しています。




色即ぜねれいしょん その3

2010年10月13日 00:57

色即ぜねれいしょん 〈光文社文庫版〉


とにかく役者が達者です。
主役・乾純には「黒猫チェルシー」の渡辺大知。ヒッピー風の家庭教師に「くるり」の岸田繁。そしてユースホステルのヒゲゴジラには「銀杏BOYZ」の峯田和伸。
ともにロックグループのヴォーカルですが、演技が役者の域を超えています。

当時はまだ高校生だった渡辺大知はオーディションで選ばれたらしいのですが、演技に不慣れなことが逆に幸いし、童貞の高校生にはうってつけの配役でした。
岸田繁はさすがネイティブの京都人だけあり、セリフまわしは問題ありませんでしたが、それ以上に演技が自然すぎますっ。
峯田和伸は、田口トモロヲ監督の前作『アイデン&ティティ』(2004年)で主人公・中島を演じていましたが、今回は脇役ながらもそれ以上の存在感です(そして・・・『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(監督・三浦大輔、2010年)では主役・田西敏行を演じ・・・峯田、すごすぎる!)。

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〈峯田和伸の髭と長髪は自前だそうです〉

やはり舞台度胸を持ち、特にヴォーカルをこなせる人っていうのは、役者以上に何者かになりきれる素養も必要なんだな・・・と、改めて感心しますね(まあ、今回の配役が特別しっくりきていたというのもあるのでしょうが)。


長編小説を映像化すると、どうしても尺に収まりきらないエピソードが出てくるものです。また監督と脚本家のエゴも顔を出してきたりして・・・(笑)。
そして、小説シーンの取捨選択や、映画版のオリジナリティによって、映画の方が良かっただの、小説の方が良かっただのと、評価をされてしまうものですが、
この作品に限っていえば、映画には映画の良さがあり、小説には小説の良さがあるように思います。

今回の脚本は向井康介氏。『どんてん生活』(1999年)、『ばかのハコ船』(2000年)をはじめ、山下敦弘監督と共同で書くことの多い若い脚本家ですが、今作品は向井氏の単独での脚本となっています。
細かな純の心理描写は小説にはもちろんかないませんが、その分、映画では純、伊部、池山の3人の“友情”が意識して色濃く描かれ、“青春度”を増しています。それに全編を通してほぼ原作のテイストを残す形で、忠実に描いていますね。このあたりは向井氏の起用がよかったのではないでしょうか。

ただし、原作と映画で大幅に違うのは、純の友人である本田の存在です。
彼は映画ではバッサリと切られ、一切出てきません(泣)。
純と家が近く登下校時に顔を合わせ、いつも純をエロ映画に誘い、彼女と一緒に純の家に上がり込こみ・・・純にとっては少し鬱陶しい存在です。
あまり本田に好意を抱いていない純なのですが、本田がすでに童貞ではないという事実が、純にとって憧れの存在ともなり、なんとなく縁が切れないでいるのです。
ちなみに、小説で純と本田が行ったエロ映画館は「千本日活」でした(笑)。
みうらじゅんの実家は北区の大将軍にあったはずで、なら、千本日活は家から自転車で5分くらいの距離ですね。

まあ惜しむらくは、本田の不在が映画の“エロ度”と“童貞度”を若干下げてしまったでしょうか(笑)。


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深夜ラジオ「青春ミッドナイト・アワー」のDJの声はみうらじゅん。純はアルバート・ハモンドの『カリフォルニアの青い空』をリクエストしたのでした(みうらじゅんを中心に結成し、イカ天に出演したバンド「大島渚」が演奏したのは『カリフォルニアの青いバカ』でしたね)。


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ロック喫茶のロケ現場は京都の老舗ライブハウス「拾得」。劇中歌に「村八分」の『どうしようかな』・・・、いやはや、京都を知っておりますなあ。


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隠岐島のユースホステルはもうないそうです。ロケは天橋立ユースホステルで行われました。
今は、ユースホステルへの宿泊者も高齢化しているとかで、もうこの青春の光景も見られないのですねえ・・・。
みうらじゅんは、高校の3年間、夏は隠岐島に通ったそうです。もちろんフリーセックスの幻想が解けて以後もね(笑)。





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