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ザ・ハリウッド その1

2013年12月10日 22:34

ザ・ハリウッド 監督・野村惠一 1998年


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秋の季節に思い出す一作。2011年3月に亡くなった野村恵一監督の映画と京都への思いが詰まった作品です。

舞台は、京都の白川今出川にあるビデオレンタル店「ハリウッド」。

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そこでアルバイトをする、国籍も映画の好みも違う二人の友情を中心に、映画によってつながっていく人々との触れ合いが、あたたかく描かれています。ビデオ店を舞台にした日本版「ニュー・シネマ・パラダイス」とでも言いましょうか。

本作品は、世に知られていない佳作中の佳作にして、出演者もほとんど無名の人ばかり。そして映画のタイトルも一見、インパクトに欠ける題名なのですが・・・野村監督のかつての日本のハリウッド・太秦、映画への愛情はひしひしと感じることが出来るのです。


主な登場人物は、

ビデオレンタル店「ハリウッド」に、新しくアルバイトとして入ってきた大槻次郎(喜多見英明)。高校生の時、自殺しようと遺書を書いたが、テレビで見たジャッキー・チェンの『プロジェクトA』の自転車シーンがあまりにおもしろすぎて、遺書を破り捨てたら「何だこんなものか」と思って電車に乗って家を飛び出してきたという、アクション映画好きの家出少年。

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同じビデオ店の先輩には、ロバート・スペンサー(マイケル・タバート)。ロンドンの映画館で見た小津安二郎の『麦秋』の世界にあこがれて、日本にやってきた留学生。しかし、「映画の中の日本はどこにも見つからなくて・・・」と嘆きながらも、映画への思い入れはひとしおの真面目な青年。

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店長の高岡(竹橋団)は『フィールド・オブ・ドリームス』のケビン・コスナーに憧れて、脱サラして好きだったビデオ店を始めた。しかし、「ケビン・コスナーには嫁さんついて行ったけど、俺には嫁さんも子どももついてきてくれなかった」と。
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映画はそれぞれ違うものの、映画によって人生を変えられた3人なのです。


本作『ザ・ハリウッド』の所々でモノクロ映像として挟まれるのが、ロバートが京都の街なかで、人々に好きな映画を聞き、それに応えるインタビュー集。

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人々の口から語られるのは、コーエン兄弟の『ミラーズ・クロッシング』、ジョン・カサヴェテスの『アメリカの影』、溝口健二の『残菊物語』、成瀬巳喜男の『浮雲』、ジャンギャバンの『望郷』、『幸せの黄色いハンカチ』、『風と共に去りぬ』、『魔女の宅急便』、『スターウォーズ』・・・と、誰もが知る名作から、懐かしのチャンバラ、SF、アニメと様々。しかし、その人にとっては、劇中の次郎にとっての『プロジェクトA』や、ロバートの『麦秋』、店長の『フィールド・オブ・ドリームス』のように、かけがえのない作品に他ならないのです。


次郎が最後に呟く「金がなくても、こんなにたくさんの夢があれば、人生結構楽しくやっていけるよな」の言葉が、映画の持つ魅力を表しています。



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ザ・ハリウッド その2

2013年12月10日 22:35

あらすじは・・・

ビデオ店「ハリウッド」に新たにバイトとして入った大槻次郎。店長の高岡(竹橋団)は、落ちた売り上げを挽回するため、黄色いド派手な自転車でビデオの宅配を思いつき、次郎に宅配の仕事を任せる。

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しかし、あまりやる気のない次郎は、宅配の途中にゲームセンターでサボってばかり。

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一方、真面目な留学生のロバートは、店長に代わって新作の発注も行う優秀なバイト。

ビデオ店のもう一人の先輩には、バンドのプロデュースをしながら東京で一旗揚げる野心を抱く、伊藤ミカ(宮川サキ)。

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ロバートは謎の中国人・エレナ・フェイ(白雪)と出会い、恋仲となる。

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次郎は宅配の途中で、佐伯(藤沢薫)という映画好きの老人と出会う。佐伯は次郎に時代劇『忠臣蔵』の宅配を頼み、往年のスター・長谷川一夫、勝新太郎、市川雷蔵について「あのころの写真は、ほんまに豪華絢爛やったなあ」と熱く語る。

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『危うし!伊達六十二万石』を見て、
佐伯「このアラカンはなかなかのものやで」
次郎「アラカン?」
佐伯「嵐寛寿郎のことをアラカンと言うたんや」
次郎「ああ、キムタクみたいなものすね」


配達途中の次郎はいつも賀茂川べりでクラリネットを吹いている少女に恋心を抱くが、ただ、土手に座ってその姿を眺めているだけ。

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店長の高岡は、別れた妻(余貴美子)から、ビデオ店をハンバーガーショップへ店替えしないかとの話を持ち掛けられて悩む。

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エレナが突然日本を離れることになり、ビデオ店にロバートを訪ねに来るが、ロバートは大学の授業中。エレナは、店の棚の前で、ロバートが熱く語っていた小津安二郎『麦秋』のパッケージを手に取り、名残惜しそうに眺める。

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バイトに来たロバートに、エレナが明日、日本を立つということを伝えた次郎は「いいっすよ。どうせ帰ってもすることないですから」とロバートとバイトのシフトを代ってやり、彼女をさがしに向かうロバートに『麦秋』を渡してやる。

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ロバートは彼女のアパートの前で朝まで待っていて、そこにエレナが帰ってくる。

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二人きりの部屋に突然、警察が踏み込み、エレナが逮捕され、彼女が密入国の手引きをしていたことを知る。

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仕事をさぼって賀茂川でいつもの少女のクラリネットを聴いている次郎の元に、授業をさぼったロバートがやってきて隣に座る。

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彼女が吹く曲はベニイ・グッドマンの「メモリーズ・オブ・ユー」で、『ベニイ・グッドマン物語』の最後にこの曲が弾かれ、映画のラストでベニイが彼女にプロポーズをするとロバートは次郎に教えてやる。

ロバートは自分の部屋のカギを次郎に預け、初めてエレナと出会った時にもらった金魚の世話を頼んで、放浪の旅に出る。



ザ・ハリウッド その3

2013年12月10日 22:36

次郎がロバートの部屋に行くと、古い日本映画のビデオが棚一面に並んでいた。

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ロバートからは「たった一つの答えをさがそうと思う。でも心残りはこのビデオや。集めるのに結構苦労したんやで。これを君に託したい」とのビデオメッセージが残されていた。そして彼から次郎へのプレゼントとして、賀茂川でクラリネットを吹く彼女へのインタビューが残され、彼女が好きな映画は『グレンミラー物語』や『5つの銅貨』だということを次郎は知る。

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高岡の子・たかしは妻と一緒に住んでいて、塾をさぼっては、父親の様子を伺いにビデオ店の周辺をさまよい、ある日、次郎と知り合う。

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佐伯が足のケガで自宅に引きこもっていることを知った次郎は、嵯峨野まで自転車を走らせ、佐伯の自宅に向かう。

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次郎の姿を喜んだ佐伯は、片岡知恵蔵、中村錦之助など往年のスターの思い出を語り、大映撮影所跡、東映太秦映画村などを杖を突きながら次郎と共に訪ねる。

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日本のハリウッドと呼ばれた太秦へと案内された次郎は、佐伯が若い頃、殺陣師をしていたことを知る。

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次郎はたかしを連れ、嵯峨野の佐伯の元へ。広沢の池でザリガニ釣りに興じたり、佐伯が「やっぱり映画はアクションものやで。昔はチャンバラ、今はダイ・ハード」と映画について語り合う。

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そして次郎は佐伯から、探してほしいという映画を託される。仕事の合間に、京都中のレンタルビデオ店を当たってみるが、佐伯の観たい『ひばり捕物帖 かんざし小判』は廃盤になっていて、どこにも見つからない。

ある夜、ロバートの部屋に行きクラリネットの彼女が好きだという『5つの銅貨』を観ていると、棚に探していた『ひばり捕物帖 かんざし小判』があった。

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佐伯の喜ぶ顔を見たいと、佐伯の自宅に向かった次郎だったが、佐伯は亡くなっていて、エキストラの同僚が枕元で昔話をして偲んでいた。

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次郎が持ってきたビデオを見て盛り上がる同僚たち。そのビデオは、殺陣師時代の佐伯が尊敬していた尾上新乃介(東千代之介)とともに出演していたものだった。

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当時の大スター・尾上新乃介も佐伯の訃報を聞き、通夜に訪れ、佐伯の枕元で舞を踊る。

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次郎は部屋に戻り、あてのないロバート宛の手紙を書く。「答えが見つかって京都に帰って来たら、店をのぞいてくれ。たぶん、その時まで俺は店にいるから。店の棚には、8426本の夢が詰まっている。金がなくてもこんなにたくさんの夢があれば、人生結構楽しくやっていけるよな」と。

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ビデオ店「ハリウッド」は、かつて白川今出川にあった京大生御用達の「ホビーズ」。

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次郎役の喜多見英明は、当時、ジャニーズ所属のアイドル。
ロバート役のマイケル・タバートは、当時、オーストラリアから京都大学に留学中という、ほぼ役柄そのまま。現在は競走馬の馬主としても有名。

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次郎が宅配に向かう先には、足の不自由な妻のため、オードリー・ヘプバーンの主演映画をいつもかりる借りる寡黙な老人や、マンション住まいのやくざの組長など個性豊か。そして何といっても東映の時代劇の大御所・東千代之介が出演しているところも作品を締めています(どうせなら本人役でもよかったのにね)。

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ビデオ店に文句を言う阪神ファンの客には芦屋小雁。

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賀茂川の河原でクラリネットを吹く光景は、実際に京都では目にする風景だったりして・・・派手さは全くありませんが、いい映画です。

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