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西陣心中 その1

2013年05月21日 17:47

西陣心中 監督・高林陽一 1977年 ATG


惜しくも昨年亡くなった京都を代表する映画監督・高林陽一。
高林監督の代表作の一つが、この『西陣心中』です。

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高林作品の代名詞ともいうべき“土俗的京都”の雰囲気を感じさせる一作で、なんといっても『西陣心中』というタイトルが京都人にはたまりません。

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〈町家の屋根瓦をアップに映し出すのも、高林的〉

ただ、久しぶりに観ましたが・・・こんなにも凡作だったかな。

『本陣殺人事件』(1975年、ATG)、『金閣寺』(1976年、ATG)を経て、商業映画監督へと脱皮するかと思いきや、この『西陣心中』。
やはり高林監督の生涯は(いい意味でも、悪い意味でも)、偉大なる自主映画監督でしかなかったのかもしれません(『蔵の中』(1981年)や、『雪華葬刺し』(1982年)の世界観は素晴らしいのですが)。


高林監督はこの映画の舞台となった西陣で育ち、父親が有名な着物デザイナーであったともいいます。おそらく、監督作品の中でも思い入れの大きかったのが、この『西陣心中』なのでしょうが、その思い入れが災いし、ストーリー展開をなぞるだけのチープな通俗作品とも受けとれます。
また高林監督は原案・撮影・監督の三役をこなしていますが、追い詰められた男女がビルから飛び降りるラストシーンは、おそらく原案の段階から思い描いていたのでしょう。作品自体がこの印象的なラストシーンに向かう流れありきで、ストーリーが予定調和的に展開してしまっているのが、残念なのです。

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脚本は、名脚本家の高田宏治が担当していますが、やくざ映画やアクション映画では定評があるものの、『西陣心中』のように高林が志向する文芸的(芸術的?耽美的?)作品の脚本家としては、少々不似合でしたね。
むしろ、この時に『蔵の中』や『雪華葬刺し』で脚本を担当した桂千穂とコンビを組んでいれば、もう少しスムーズな展開になったのかな、と・・・。


とはいっても、配役の妙は、さすが高林監督でした。

関わる人々を、知らず知らずのうちに破滅へと追いやる主人公・野沢ゆみを演じた島村佳江の“魔性の女”ぶりが、魅力的。

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ゆみの相談役となる、人のいい刑事・西川には、名古屋章。

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デートクラブ(デートクラブという言葉が、昭和!)のママ・とよには、三原葉子。
とよの愛人には、この頃の高林作品の常連でもある中尾彬(眼帯姿が、演出なのか、本当に物もらいを患っていたのかわからないところが、この頃の低予算映画の魅力でもあります(苦笑))。

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そして、ゆみの知られたくない過去をネタに言い寄る、あこぎな宮崎には成田三樹夫(見事なソリコミ!)。

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ゆみの相手役・立野博之は光田昌弘が演じていますが、『ヒポクラテスたち』(大森一樹監督、1980年)では医学生・河本を好演し、『幻の湖』(橋本忍監督、1982年)では、琵琶湖大橋で主人公・道子(南條玲子)に刺される作曲家・日夏を迷演(『幻の湖』という作品自体が、迷作ですので迷演になるのも仕方がない)。

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西陣心中 その2

2013年05月21日 17:47

野沢ゆみ(島村佳江)は会社の上司・井上と無理心中を図るが、井上だけが亡くなり、ゆみ一人が生き残る。

井上の妻(白川和子)に罵倒されるゆみを庇う刑事・西川(名古屋章)。

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故郷の福島へ帰ることをすすめる西川の心配をよそに、ゆみは京都へ向かう。

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うどんをすするゆみに目を付けたのが、デートクラブのママ・とよ(三原葉子)。とよの愛人・矢野には中尾彬。

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デートクラブで働くゆみだが、ショーウインドーにならぶ西陣の着物に魅せられ、西陣へ。

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〈機の音が響く西陣〉

「織り手さん募集」の張り紙がある織屋「吉嘉商店」を覗くと、若い職人の姿が。

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〈30年、40年前の西陣では、普通にこの手の張り紙が張ってありました〉

吉嘉の主人・吉田嘉助(土屋嘉男)は取引会社が倒産したため、職人の給料支払にも窮していた。そこに、ぼろ儲けの話があると耳打ちするのが糸屋の宮崎(成田三樹夫)。

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〈「ちょっとおもろい話があんのやけどな」。「なんやねん、それ」。仁丹(昭和の紳士の必需品)をかみ砕く成田三樹夫。「ぼろ儲けの口や」〉

その頃、吉田の妻・はま(楠侑子)は、近所の釘抜地蔵(石像寺)へお参りに。

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リウマチ持ちのはまは、職人の立野博之 (光田昌弘)におぶさって行く。

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〈「西陣の織手はなあ、だれでも年取ってくると、指がきつうなって動かんようになるもんや。そんな時、釘抜地蔵はんに釘抜奉納して拝んだら、痛みが釘を抜くようにおさまるんやでえ」と釘抜地蔵の解説を丁寧にしてくれます〉

ゆみはデートクラブをやめ、西川を遠い親戚とうそをついて保証人に立てて、吉嘉商店に勤めることになった。

吉嘉商店の職人は、博之と山下(大泉滉)。博之は子供のころからの住み込み職人だった。

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「このべっぴんはん、どっかで見た顔やなあ」とゆみを舐めまわす吉嘉商店にやってきた宮崎。ゆみの素性を、しつこく博之から聞き出そうとする。

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町で会ったゆみに「わしな、お前の秘密思い出したで。こないだまで、東山のやとなクラブにでとったやろ」と耳打ちし、ばらされたくなかったらデートをしてくれと脅迫する。

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〈“やとな(雇女)”も関西独特の言い回し〉

しかし、ゆみは宮崎の待つ嵐山の旅館には来かなかった。

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〈待ちぼうけを食わされた宮崎はこの表情〉

その頃ゆみは、博之の代わりに、日課のはまのマッサージをする。そしてはまは、博之が女郎の子だと打ち明ける。

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西陣心中 その3

2013年05月21日 17:48

織屋の年に一度の晴れ舞台、着物の展示会で、来場者にゆみを紹介する吉田。

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一方、その後もしつこくゆみを誘う宮崎。「今度すっぽかしたら堪忍袋の緒がプッツンやで」と。
しかし、その日、ゆみは博之と琵琶湖に写生に来ていて、「もう帰ろう」という博之に、ゆみは「今日は帰りたくないの」と博之を誘う。

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ゆみに結婚を申し込む博之だったが、その夜遅く帰ったゆみに吉田夫妻は縁談の話をすすめる。

着物展示会で会った御曹司・水川(松川勉)に見初められ、ゆみは気の進まないうちに見合いをすることになった。

西川に相談するが、西川からも「嫁に行け」と言われる。しかし、ゆみは織物の仕事を一生続けたいと打ち明ける。

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〈東本願寺前の噴水〉

ゆみが水川とドライブに行った途中、事故を起こし、水川だけが重傷を負う。
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〈水川が事故を起こしたのは、かの有名な“鳴滝トンネル”〉

機を織っているゆみに、話があると訪ねてきた宮崎。二度もすっぽかされた腹いせもあり、「お前みたいな女な、ここに置いといたら西陣全体の恥さらしになるんじゃ」と怒鳴る。

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宮崎を突き倒すゆみ。打ち所が悪かった宮崎は血を流しながら逃げ惑い「あの女、ただもんちゃうで」と吉田夫妻にゆみの素性を暴露する。

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過去がばれ、家を出ていこうとするゆみを罵倒する、はま。そこに博之が来て「俺とゆみちゃん、結婚させておくんなはれ」と懇願する。

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〈はまは茫然の顔で、「かわいそうに博之。お前までがこのおなごに魅入られてしもうて・・・」〉

宮崎への傷害で拘留されていたゆみを迎えに来た西川。その西川に「お風呂へ入りたいわ」と旅館に誘うゆみ。

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真面目な西川は、「一人にしないで」と言うゆみの誘いを断り、必ず更生させると西川の家に一時身を寄せることとなる。
しかし、駅で西川がトイレに行っている隙に、ゆみの姿はなくなる。


西陣心中 その4

2013年05月21日 17:49

吉田や宮崎らは一杯の後に、やとなクラブへと遊びに行く。座敷に現れたのは、ゆみ。
一同は、あっけにとられ正気に戻るが、ゆみは何事もなかったように接待する。

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ゆみを連れて部屋に行く吉田は、すぐに国に帰れと財布を渡す。「旦那さん、私、京都にいたいんです。京都が好きなの」と財布から金を抜き取り、「こうすれば、ただの男と女よ」と財布で吉田の頬を叩く。

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結局、ゆみの魔性に魅入られた吉田もゆみを抱いてしまう。

さらにはデートクラブのママ・とよも魔性のゆみの餌食に。矢野とゆみとの関係を知って逆上し、発作で倒れる。


玄武神社のやすらい祭りの囃子が鳴り響く中、見事な鶴の帯を織り上げた博之。
業者が高値で買い取りたいという中、とよは展示会に出すからと断る。

そこに現れたのが、ゆみ。「奥さん、私その帯、買いに来たんです。博之さんが私のために織ってくれたんでしょ?」「あほらし、博之はうちにいやへん」と嘘をつく、とよ。

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「お金ならあるんです」と札束を差し出すゆみに「あかん、あかん。どうせ汚いことして、こさえたお金やろ。この帯はな、ちゃんとしたええおうちの娘はんが締めはるんや。あんたみたいな売女に買われたら帯が泣くわ。かえってんか」と一蹴。

ここで、ゆみの形相が変わり、ゆみは博之の部屋へと向かう。

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追いかけてきたとよは「お前がどんなに誘惑しても博之は渡さへん。出ていけ鬼め。博之、だまされたらあかん。あんたは鬼に魅入られているん・・・うちが相手したげる。うちを抱いたらええんや」と、とんでもない展開に。

そこにゆみが出刃包丁を持って現れ、とよを刺す。

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背中に包丁を刺されたまま逃げ惑う、とよ。

帰ってきて修羅場に遭った吉田も、博之に羽交い絞めにされる。
「一体お前はなにもんや。ほんまの鬼か!」と叫びながら、ゆみに刺される。

外で鳴り響く、やすらい祭りの囃子。

着物に着替えたゆみの手を取って逃げる博之。

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行く手には花笠の行列。

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〈本隆寺の北にある築地塀は今も昔も変わりません〉

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〈この市電は北大路線でしょうか(北大路線は1978年廃線)〉

京都駅に着いた二人は、警察に追われ・・・

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ビルに逃げ込む(このビルは京都駅とは距離を隔てた御池通りの本能寺会館)。二人がたどり着いたのは屋上。

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博之はゆみの帯を自分の腰に巻き、飛び降りる。

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鶴の描かれた帯は横たわる二人の上にかぶさるが、ゆみだけが立ち上がり・・・と、なんとも意味深な終わり。

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本作品の熱演賞は・・・成田三樹夫さんのこの表情に決定!

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