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京都太秦物語

2012年03月12日 00:21

京都太秦物語 監督・山田洋次/阿部勉 2010年

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松竹・立命館大学・京都府によって2007年に立ち上げられた「産学官連携プロジェクト」の一環として制作され、立命館大学映像学部の客員教授に就任していた山田洋次の指導の下、映像学部に通う学生22名が製作に携わったという作品。

見るものとしては、多数の若い学生が関わっていることから、斬新な脚本や映像を期待してしまうのですが、学生たちはおそらくアシスタント的に制作現場を手伝うというくらいの役割だったのでしょう・・・ロートル、もとい御大・山田洋次監督作品なだけあって、斬新さ、派手さは微塵もナシ(苦笑)。

ただ、オーソドックスと揶揄したくなるこの映画が全体的に悪いかといえばそうでもなく・・・評価には難しい作品です。


主な舞台は、太秦の大映通り商店街と立命館大学。

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映画産業華やかな頃には、映画関係者で賑わった商店街も今はむかし。大映が倒産したのが1971年。太秦にあった大映京都撮影所もその時に閉鎖されました。

ヒロインは、実家が商店街でクリーニング店を営む東出京子(海老瀬はな)。
同じ商店街で実家が豆腐屋を営む梁瀬康太(USA)とは、幼なじみの恋人。
京子は立命館大学の図書館で司書として働き、康太は売れないお笑い芸人。

さらに一方的に京子に恋をし、二人の仲に割ってくるのが、大学に客員研究員として東京から来ていた榎大地(田中壮太郎)。榎木は漢字学の泰斗・白川静に私淑しているという設定。

京都での短い研究生活を終える際、京子にプロポーズをしてきた学問オタク・榎木と恋人・康太との間で揺れ動き、京子は思い悩む・・・というストーリー。

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しかし、三角関係とよぶには、榎木の描き方があまりにぞんざい。そこがこの映画の最大の欠点(フツー、一度もデートや食事すらしたことない女性にプロポーズしませんよね(苦笑)。しかもそんな男性に心が揺れ動くって・・・)。
そして、百貨店での深夜警備のアルバイト中に、なんの脈絡もなく康太(EXILEのUSA)のダンスが挿入されるシーンも、いらないような(舞踏家の田中泯が警備員の上司役で出演し、USAさんのダンスの監修もしていたようですが、田中泯を起用するためだけにこのシーンがあるとしか思えません)。

山田洋次もここまでか・・と思えるほど、ゆるい脚本なのが、なんとも残念。

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一方で独創的とも思えるのが、商店街に住む人びとを役者として実名で登用している点。しかも、主役の京子と康太の両親役(クリーニング屋さんと豆腐屋さん)は、実際に当地で今も営業していて、かつての苦労話をインタビュー形式で挿入するという新機軸(芸人を続けていくか、豆腐屋の後を継ぐかで迷う康太の伏線ともなっています。女優・壇れいのドキュメンタリー風のナレーションではじまったときは、記録映画の類かと思いましたが・・・)。

そしてもう一つの映画の救いは、主役・海老瀬はなさんの透明な存在感。
2005年の松竹110周年記念の女優発掘オーディション「STARGATE」でグランプリを受賞し、デビューした女優さんですが、派手ではないこの映画のヒロインとしては適役で、この人の起用が作品の大崩れを防いだようで・・・(笑)。

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味のある映画といえば、味があり・・・地味だといえば、あまりにも地味で・・・良くも悪くも「産学官連携プロジェクト」にふさわしい出来上がりの作品でした。


関西で映画作りを学べる学校として定評があるのが、大阪芸術大学の映像学科。かつては依田義賢、宮川一夫、中島貞夫らが教壇に立ち、近年も橋口亮輔、熊切和嘉、山下敦弘、宇治田隆史、柴田剛、石井裕也・・・と錚々たる若手映画監督・脚本家を輩出している大学です。

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一方、立命館大学の映像学部は2007年に設置され、客員教授には山田洋次をはじめ、佐々木史朗、中島貞夫など映画界の有名どころを擁するも、教授陣を見ると映画監督の育成が主たる目標でもなさそう。
映画作りを実践として体験した22名の学生たちはいい経験ができたのでしょうが、映画監督・脚本家になりたいからといって、この大学のこの学部に入るというのは、少し違うのかもしれないですね。



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