--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

愛欲

2012年01月22日 23:55

愛欲 監督・佐藤純彌 1966年

WS000270_R.jpg


名作『廓育ち』から2年、1966年に佐藤純彌が監督した『愛欲』には、前作に引き続き三田佳子が佐久間良子とともに主演をつとめています。

しかし『廓育ち』が、川野彰子の同名小説を原作に、棚田吾郎が見事な脚色をしたのに比べ、
『愛欲』は森川英太郎と佐藤純彌が共同で脚本を作っていますが・・・お世辞にもよく出来た脚本とは言えません。


“東映女性大作”と題するこの映画の予告編では「華麗なる対決」だの「惜しみなく競う二つの愛」だの「現代の愛を問う」だのと大時代的なキャッチフレーズが冠されていますが、大袈裟すぎ(苦笑)。


麻生食品の宣伝課長補佐・江崎哲也(三國連太郎)をめぐる、銀座のマダム・野村奈津子(三田佳子)と京都で旅館を営む清水由喜(佐久間良子)との“女の対決”?? いえ、女の対決だとか、男を取り合うというほどドロドロした女の情念が表れているかといえば・・・それほどでもなく、しかもこの作品がどうして成人映画に指定されているのかも理解できないのです(過激なシーンや表現もないのに・・・)。

WS000336_R.jpg
〈佐久間良子演じる由喜が営む旅館があるのは清水二年坂のふもと〉


キューピットマークでおなじみの麻生食品。その製菓会社で年間40億円もの広告費を一手に担っているのが三國連太郎演じる江崎哲也。とにかくやり手社員という設定です。
缶ジュースで中毒事件を起こしても、保身を気にする上司とは裏腹に、素早く対応する敏腕社員。

恋人は銀座の高級バーを営む野村奈津子(三田佳子)。
麻生食品の専務・麻生公輔(丹波哲郎)とは学生時代からの友人という関係。

WS000211_R_20110609112429.jpg

ところが・・・京都に出張した際、旅館を営む未亡人の清水由喜(佐久間良子)と恋に落ちてしまったから、さあ大変。魔性の女・由喜に惚れ込んでしまったことから彼の人生の歯車が狂いだし・・・。

WS000173_R_20110609112429.jpg
〈このロケ地は、東山の大谷本廟の墓地。二人の向こうに見える広い道が五条通です〉

由喜に逢いたい一心で、当時はまだ運行していた東京・大阪間の深夜便の飛行機に乗って京都に向かったり、恋人・奈津子を振り切ったその足で東京から京都までタクシーで駆けつけたり・・・。


女にうつつを抜かしている江崎を見て、親友で上司でもある麻生は心配し、それでも我に返らない彼に向かって言い放った「40億の後光がなければ、鉛同然の人間だ」との言葉がずっと心にわだかまりとして残り、さらに江崎を後戻りできない窮地へと追い込んでいきます。

WS000282_R.jpg

由喜に江崎のことを諦めさせようと説得する麻生と彼女が一緒にいる場面に江崎が遭遇し、由喜の煮え切らない態度に激怒。ついには恋人の奈津子との結婚を決意しますが・・・。

WS000328_R.jpg

婚約の披露パーティーの日、もう別れたはずの由喜が東京にやってきて「東京と京都に離れてても、よう聞こえました。由喜、由喜って、あんさんの呼ぶお声が・・・」と泣きつかれては、もう江崎は暴走モードに突入です。由喜と一夜をともにして、パーティーをドタキャン。

しかも、悪いことは重なるもので(笑)、その日にはもうひとつの大きなトラブルが発生。広告の企画としてあたためていた麻生食品の“世界一周の懸賞”を発表する直前に、他社に同じ企画を先に発表されるという大失態が明らかになったのです(ありがちな展開です(苦笑))。翌日の朝刊に間に合うよう、新聞社の輪転機を止め、広告を掲載させる力を持っている存在は江崎だけ・・・。しかし、江崎の所在は不明のままで・・・。

翌日、出社した江崎は親友の麻生から北海道への左遷の辞令を受けますが、自ら辞表を提出し、退社。
40億円の後光を断ち切り、自分だけの力で広告代理店を作ろうと画策するも、見込んでいた人間からは一緒に仕事をすることを断られる始末で。悲しいかな、麻生食品の大看板がなければ江崎も所詮、ただの人・・・だったのです。

失意のうちに、すがりつける人間といえば京都にいる由喜のみ。
そして由喜の旅館に転がり込んでいた間に、奈津子は自室で服毒自殺を図り、そのことを東京からの電話で知った由喜はショックを受け、江崎に内緒で抹茶に毒を盛り無理心中を図ります。

そして、奈津子と江崎は一命を取り止め、由喜だけが命を落とす・・・と(恋に生きる魔性の女も脚本の上では、これもまた悲しいかな、使い捨て(泣))。

最後は・・・何もかもをも失ったただの江崎を、それでもなお、店の権利書を差し出してまで支えようとする奈津子。しかし由喜の墓前で江崎は奈津子に誓うのです。
「もう一度自分の中の何かをたたき壊して、何かを築き上げてみたいんだ・・・その本当の何かをつかんだと思った時、その時に君と会おう」と。もう、目の前の墓に眠る由喜のことはないがしろです(苦笑)。

WS000589_R.jpg


こういうドラマをフェミニストは評するのでしょう「オトコ目線のメロドラマ」だと。しかし、フェミニストでなくても思いますヨ。ちょっと筋書きが安易すぎる上に、オトコに都合よすぎ・・とネ。


WS000065_R_20110609112430.jpg

野村奈津子(三田佳子)が運転するのはターコイズブルーの190SL。名車中の名車です。さすがは銀座の一流ママ。


WS000387_R_20110609112500.jpg

この映画の衝撃シーン度から言えば、由喜を演じる佐久間良子が着物のままでドブ池に入っていくこの場面がMAXでした。次点は同じく佐久間良子がビールの注がれたガラスコップを握りつぶすという場面でしょうか。



スポンサーサイト


Twitterボタン

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。