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女王蜂

2011年06月20日 23:36

女王蜂 監督・市川崑 1978年


この頃の角川春樹はとにかく凄かった。

もともとの横溝ブームの始まりは、当時、角川書店の編集局長だった角川春樹の采配によって1971年に文庫版『八つ墓村』が刊行され、ベストセラーになったこと。その後も角川書店では横溝作品を続々と文庫化して、一大ブームを起こしました。しかし、時代の寵児となった角川は書籍の売り上げだけに満足していませんでした。

まだ三十を過ぎたばかりの角川春樹が、映画界の巨匠・市川崑と、時代に忘れ去られていた老推理小説作家・横溝正史を“手玉に取り”、横溝作品の映画化によって角川書店を映画産業に食い込ませ、自社の文庫本もさらに爆発的に売り出すというメディアミックスの手法の先駆けを生み出したのですから。
しかも当時はまだ、角川春樹が“電波系”の人物だとは世間も気づいておらず(笑)、メディア産業の風雲児と崇めたてられ・・・。


監督・市川崑、主演・石坂浩二のコンビでおなじみ、横溝正史シリーズの映画化は全部で5編(2006年の『犬神家の一族』は除きます)。

『犬神家の一族』(1976年、角川春樹事務所)
『悪魔の手毬唄』(1977年、東宝)
『獄門島』(1977年、東宝)
『女王蜂』(1978年、東宝)
『病院坂の首縊りの家』(1979年、東宝)

この中で、(かろうじて)京都が舞台として登場するのが、この『女王蜂』です。
横溝正史の原作では、 伊豆半島から七里の場所にあるという設定の虚構の島「月琴島」と「東京」が舞台となっていましたが、映画では伊豆天城山中にある「月琴の里」と「京都」に変更されました。

伊豆にある大道寺家と、京都の東小路家(あいかわらず大袈裟な名門の家名だこと)。両家にまたがる20年の因縁。そしてさらに遡ること・・・。


またこの作品は、佐田啓二の遺児・中井貴惠のデビュー作としても注目され、文庫本と映画のメディアミックスに加え、コミックスも発売。

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さらにカネボウ化粧品の口紅とのタイアップも行うという商売魂満載の映画でもあったのです(苦笑)。

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〈ヒロインの母親の形見として登場するカネボウ化粧品の新商品リップスティック「ツイニー」。キャップの中に謎のメッセージが秘められているという演出〉


しかも当時の市川崑は『女王蜂』公開の半年後に公開を控えた実写映画『火の鳥』(原作・手塚治虫、主演・尾美としのり、若山富三郎)の撮影時期とも重なり、『女王蜂』には松林宗恵を“協力監督”の名の下にもうひとりの監督として置かざるを得ない始末で・・・。


ところが・・・当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだったプロデューサー・角川春樹×監督・市川崑×原作・横溝正史の面々が揃えば・・・『女王蜂』のクオリティは落ちることなく、30年以上経った今でも色あせない演出方法には脱帽と言わざるをえません。


前三作で殺人者を演じたベテラン女優を一挙に起用。『犬神家の一族』の高峰三枝子、『悪魔の手毬唄』の岸恵子、『獄門島』の司葉子。
それにしても、当時40代半ばの岸恵子の美しさといったら・・・。

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伴淳三郎は長い喜劇人役者生活の中でも、これが市川崑作品初めての出演。伊豆天城に駐在する老巡査役ですが、いい味だしています。

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20年にわたる長い因縁を描くには、仲代達矢の学生服姿も必要なのです(笑)。

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東小路隆子(高峰三枝子)の豪邸の外観には、相国寺の庫裏「香積院」。

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東小路家主催の茶会が催されるのは、仁和寺。

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