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マザーウォーター

2011年06月05日 00:04

マザーウォーター 監督・松本佳奈 2010年

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京都を舞台に、ウイスキーしか置いていないバーを営むセツコ(小林聡美)、喫茶店を経営するタカコ(小泉今日子)、そして豆腐屋のハツミ(市川実日子)。どこかよその土地からこの街にやって来た三人を中心に、地元の人間が関わっていくドラマ。ドラマ? いや、ドラマにすらなっていません。

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さて、「マザーウォーター」は、「かもめ食堂」「めがね」「プール」など一連の霞澤花子という方が企画に携わっている作品の中のひとつです。
今回の監督は松本佳奈。脚本は白木朋子、たかのいちこ。

一連の前作も、「かもめ食堂」ではフィンランド、「めがね」では与論島、「プール」ではタイと、舞台となる土地を活かした脚本になっていましたが、今回は鴨川や白川、そして井戸水に代表される水と関わりの深い街として京都が舞台となり、だから主役級の三人の女性も水に関わる商売をしている・・・ということです。
「かもめ食堂」(監督・荻上直子、2006年)がことさらおもしろかっただけに、期待値が高いという不利な点はさておいて、シリーズ作品が発表されるごとにだんだんと斬新さが薄れてゆき、それでもまだ「プール」までは見られたのですが・・・。

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さて、この映画、あらすじは語る必要もありません。何も起こらず、人間ドラマになるほど、人と人との交流もなく・・・。
この映画評に頻繁に出されるワードとして「癒し」がありますが、なんだか「癒しは卑しい」と言った誰かの名言が思い出されてなりません(「内容のないユルさ」を「癒し」と無難に表現しているところが、なんとも逃げの表現のようで・・・。何でも「癒し」のワードで片付けられると思う心が「卑し」すぎます)。


まずもって登場人物の会話が退屈。機知に富んだ会話もなく、ウイスキーしか置いていない店って。しかも、その銘柄が「山崎」(サントリーがスポンサーでしたっけ?)。そしてマドラーでウイスキーをかき回しすぎっ。小学生の子どもが父親の水割り作ってるんじゃないんだから・・・。

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冒頭ちかく、家具屋のヤマノハ(加瀬亮)が客として入ってきた場面で、カウンターの椅子に座った途端に椅子が壊れ、ヤマノハが倒れます。そして女主人のセツコのセリフが「やっぱりダメか。なんかガタガタして調子悪かったんだよね、その椅子」って・・・正義の国アメリカじゃ、訴訟ものです(苦笑)。
しかも壊れかけの椅子を除けなかった理由が「そこだけ椅子がないっていうのも不自然だし」って。この冒頭のやりとりで、小林聡美演じるセツコの人間的魅力バロメーターはすでにゼロとなってしまいました・・・。


最近はめっきり怪優となってしまった、もたいまさこ。この人が演じる初老のマコトがハツミ(市川実日子)の豆腐屋の店先で豆腐を食べたいと言い出したことがきっかけで、登場人物たちが豆腐屋の店頭に置かれた長椅子で食べるシーン・・・それほど、おもしろくないです・・・。

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若いヤマノハ(加瀬亮)やジン(永山絢斗)に向かって投げかける、マコト(もたいまさこ)やセツコ(小林聡美)の説教じみた話もなんとも浅い。


薄っぺらい役者のセリフより、かわいい子役の赤ん坊がベンチから落ちないかと、観ていて気を取られる始末で・・・。

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こういう映画を観ていると、小津作品の小津安二郎と野田高梧の脚本がいかに秀逸かが再認識させられます。同じユルさでも、小津作品の場合は会話にウイットがあるから、長回しの単調な場面でも観ていられ・・・いや、むしろセリフを聞かせるために、あのテンポが必要だったのです。


出演している役者がまっとうな演技をできる人間ばかりなのに(永山絢斗もなかなか自然な演技がよく、市川実日子も存在感があるのに)、この脚本と構成では、演技のしようもなく・・・。そんな中で、まあ、赤ん坊がかわいかったことくらいが救いでしょうか。

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そして、京都を舞台としているにもかかわらず、観光名所を意味もなくカット・インさせなかったことも、買いですかね・・・。


むしろ、マコトのセリフにあった「この街のみんなの子ども」として、赤ん坊をメインに30、40分ぐらいの短編にすれば、少々おもしろい話にはなったのかもしれませんが、30分の短編では映画商売にはならないか・・・。



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