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蔵の中 その1

2011年09月02日 00:48

蔵の中 監督・高林陽一 1981年


あらすじ。

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昭和10年、京都にある出版社「象徴社」の編集長・磯貝三四郎(中尾彬)の元へ、蕗谷笛二(山中康仁)という胸を病んだ青年が小説原稿を持ち込んできた。

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評論雑誌『象徴』を出版する磯貝だが、小説の持ち込み原稿は受けないと断ろうとする。しかし笛二は読んでもらわないと、転地療養にも行けないと頑なに居座った。仕方なく預かることを承知した磯貝に、「おもしろいに決まっていますよ、少なくとも先生には・・・」と意味深な言葉と笑みを残して、笛二は象徴社を後にした。

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原稿の題名は「蔵の中」。そこには肺を病んだ姉・小雪(松原留美子)を慕い、姉が隔離された蕗谷家の別邸にある蔵の中に入り浸る弟・笛二との暮らしが描かれていた。

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小雪は五歳の時に中耳炎に罹り、聾唖となった。そして胸をも病んでしまった今、他人にうつさないようにと薄暗い蔵の中で、からくり人形や錦絵を見て、ひっそりと暮らしていた。

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弟の笛二は、女中の婆や(小林加奈枝)が病気がうつると心配するのをよそに、姉がいる蔵の中に出入りする。弟が姉を思う愛情は、体を拭いてやったり、喀血した姉の唇から、血を吸い取って楽にしてやるほど偏狂なものだった。

いつしか姉と弟は男女の関係となる。しかし、弟は背徳の行為に後ろめたさを感じ、一方では姉の儚い運命に同情を寄せ、断り切れずに姉との情愛に溺れていく・・・。

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ある時、笛二は蔵の中で遠眼鏡を見つける。蔵の窓からその遠眼鏡で覗くと、京都の町が一望できた。白川の行者橋を金魚売りが歩く姿。南禅寺の水路閣では意味ありげな男女が、物憂げに佇んでいる姿・・・。
そして、笛二と小雪のいる蔵から、そう遠くない一軒家の座敷には、かの「象徴社」の磯貝と、その愛人・お静(吉行和子)の姿があった。

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磯貝は妻を亡くしたばかりで、お静は高利貸しの未亡人。磯貝がまだ三高の書生で、お静が新京極のカフェで女中をしていた頃からの知り合いだった。
しかし、若かりし頃の磯貝が出版事業の援助をしてくれる資産家の妻と結婚したことから、お静は歳の離れた高利貸しと仕方なく結婚した。

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そんな二人の事情は、姉と会話をするために幼い頃から読心術を会得していた笛二にとっては、容易いことだった。

お静は磯貝に、儲からず忙しいだけの出版社を辞め、自分が養うから一緒になろうと、言い寄っていた。
磯貝は出版事業への思いを断ち切れずに、また妻が亡くなって四十九日も経っていないことから、結婚はすぐには出来ないと口よどむ。

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日に日に感情的になっていくお静は、不審な最期を遂げた磯貝の妻は、実は磯貝が財産目当てで毒殺したのだろうと核心をつき、磯貝の弱みを握ることで結婚を迫る。しかも磯貝はお静に借金を背負っていた。

次第にヒステリックになるお静に、激高する磯貝。そしてついにお静の首を縁側で締め、殺してしまった。

その殺人を蔵の中から見ていた、笛二と小雪。

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将来を儚む小雪は、笛二にあのように首を絞めて殺してくれと頼む。
もちろん拒絶する笛二だったが、そこに蔵の外から婆やの声が。笛二が訝しんで様子をうかがうと父親も一緒にいて自分を引き戻しに来たようだった。

姉と引き離される事態に戸惑った笛二は蔵の階段で、血を吐く。姉の肺病がいつしか彼にもうつっていた。
そして笛二は自らの血がついた手で、姉の首を締めていた・・・。

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象徴社の事務所で「蔵の中」を読み終えた磯貝は、急いでお静と暮らしていた家に向かった。そこから見回すと、確かに一軒の蔵が見える。

蔵のある「蕗谷別邸」と書かれた門扉を入ると、ひとりの若い女中(上中美樹子)がいた。

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しかし、その女中によると、かつても今も蔵の中にいるのは笛二だけで、婆やという人物は自分が奉公する二年前に亡くなったといい、姉の小雪なる人物もいないという。


そして、笛二がいるという蔵に上がり込み、磯貝が蔵の中で見たものは・・・。

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蔵の中 その2

2011年09月02日 00:48

「蔵の中」は昭和10年8月号の『新青年』に発表された横溝正史の小説。文庫本にして40ページにも満たない短編小説です。

監督の高林陽一にとって、横溝作品の映画化は『本陣殺人事件』(1975年)に次ぐ二作目でした。

横溝正史といえば、市川崑監督による『犬神家の一族』(1976年、角川春樹事務所)からはじまった横溝シリーズの映画化が一大ブームをもたらしましたが、『病院坂の首縊りの家』(1979年、東宝)でいったん終了。

しかし、このブームを挟むように、横溝正史原作による高林映画が『本陣殺人事件』(1975年、ATG)と『蔵の中』(1981年、東映、制作・角川春樹)としてあったのです(ちなみに、『蔵の中』と同時上映されたのは、篠田正浩監督による『獄門島』でした)。

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『蔵の中』では、翌年の高林監督による『雪華葬刺し』(原作・赤江瀑)も手がけた桂千穂が脚本を担当していますが、高林監督と桂千穂の脚本は相性が良かったのでしょうか。原作とは物語の内容は異なるものの、原作に大きく発想を得た見事な脚色がなされています。

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〈映画のオープニングは中尾彬扮する磯貝三四郎が雨の中、亡き妻の墓参りをする怪しげなシーンから。内藤丈草の「かげろうや塚よりそとにすむばかり」の句が、これから始まる物語を象徴しています〉

耽美、幻想、頽廃・・・に満ちた『蔵の中』『雪華葬刺し』の両作品は、高林陽一にとっても監督キャリアでの全盛期を象徴する作品といって間違いないでしょう。


「蔵の中」の原作では・・・物語の舞台は東京本郷、小石川あたり。姉と弟との情交はなく、慕っていた姉が亡くなった後、自らも肺を病み転地療養から戻ってきた笛二が、かつて姉と遊んだ蔵の中でひとり、白粉や口紅、眉墨を塗って化粧をし、姉の形見の振り袖を身につけ、その美しさにうっとりとするのです。
そして、そんなひとり遊びにも飽きた笛二が遠眼鏡を手にし、覗いた先が磯貝とお静が過ごす座敷だったというわけです。
妻を殺し、愛人であったお静をも殺した出版社「象徴社」の名編集長・磯貝のもとに、遠眼鏡で出来事の一部始終をうかがっていた笛二がそのあらましを描いた小説を持っていくというストーリーですが・・・実際には妻も愛人も殺していない磯貝は、ただお静との情事を覗かれていたことに激怒して、笛二に原稿を送り返します。が、その後、新聞記事で笛二が病気を苦にして蔵の中で自殺したことを知り、愕然とする、という内容です。

江戸川乱歩はこの作品を、横溝が谷崎潤一郎の「恐ろしき戯曲」に刺激されて書いたのではないかと指摘したのだとか。

そして原作の中には、映画の持つ妖しさの雰囲気はそれほど見あたりません。

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映画の脚本では、原作の笛二の内面から姉・小雪を引きはがし、別人格として蔵の中に据え付けることによって、蔵の中を笛二の内面そのものとして描きだすことに成功。現実と虚構の世界を浮遊するかのような幻想的な物語たらしめているのです。


そして映画『蔵の中』では胸を病んで蔵の中に隔離されている聾唖の姉と、その姉を慕う弟とのいけない性愛が物語の大半を占めています・・・が、ここで重要なのが、実はこの姉・小雪を演じる松原留美子はニューハーフだということです。

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公開当初は、その話題性もあり、恐らく多くの人がその事実を知った上で観たのでしょうが、後に観た人の中には、松原留美子を女性だと思って自然と観ていた人も多かったようです。
しかし、ニューハーフが演じる姉と弟との情交という事実と彼女を起用した監督の狙いこそが、この映画をより耽美、幻想、頽廃の世界へと誘う役割を高めていたと考えるのが自然です(知ってから観た方が、より世界観を楽しめる・・・でしょう)。

1980年頃に「ニューハーフ」という呼称が生まれ、その中でも松原留美子はニューハーフを初めてキャッチフレーズにしたタレントとして知られています。
キャバレーにホステスとして勤めていた1981年、六本木フェニックスのイメージガール「六本木美人」に男性であることを隠して応募し、起用された後に、男性であることが発覚(最近も、そんなニューハーフの人がいましたね)。マスコミはこぞって彼女を取り上げ、同じ年にこの『蔵の中』で主演デビューを果たすのです。その後も歌手デビューをしたり、テレビ出演をしたりするものの、その活動期間は一年ほどと短かったようです。

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しかし・・・当時は“どこから見ても女性”と評判だった松原留美子さんですが、映画の中では、髪型のせいもあるのでしょうが・・・ところどころ男性に見えてしまう場面も(むしろ、ニューハーフと知らずに観れば、映画全体の印象もまた違ったものになったのかも知れませんネ。どうしても、あら探しをしてしまうのです・・・)。

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そして弟役を演じた山中康仁は、黒澤明監督の『影武者』(1980年)では森蘭丸を演じ、大林宣彦監督の『転校生』(1982年)や鈴木則文監督の『パンツの穴』(1984年)にも出演。すでに引退していますが、線の細い肺病の文学青年役としては、なかなかの存在感です。

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演技がうまいというよりも、虚構の幻想世界を生きる人間としての存在感が抜群なのです。

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松原留美子も山中康仁も、この映画のためだけに存在したような役者でした。


また、カメオ出演として、ともに8ミリ映画の自主制作映画出身で高林監督の盟友とも言うべき、大林宣彦が金魚売りの役で登場。

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ちなみに、高林監督も大林監督の『ねらわれた学園』(1981年)や『時をかける少女』(1983年)に出演しています。

さらに制作に関わった角川春樹も南禅寺の水路閣で女性と二人、所在なさげに佇んでいます。

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この隣の女性は、特別出演でクレジットもされている、きたむらあきこ、です。


最後に・・・主題歌である桃山晴衣の「遊びをせんとや生まれけん」という曲、映画の世界観に合いすぎで、怪しすぎます・・・。



西陣心中 その1

2013年05月21日 17:47

西陣心中 監督・高林陽一 1977年 ATG


惜しくも昨年亡くなった京都を代表する映画監督・高林陽一。
高林監督の代表作の一つが、この『西陣心中』です。

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高林作品の代名詞ともいうべき“土俗的京都”の雰囲気を感じさせる一作で、なんといっても『西陣心中』というタイトルが京都人にはたまりません。

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〈町家の屋根瓦をアップに映し出すのも、高林的〉

ただ、久しぶりに観ましたが・・・こんなにも凡作だったかな。

『本陣殺人事件』(1975年、ATG)、『金閣寺』(1976年、ATG)を経て、商業映画監督へと脱皮するかと思いきや、この『西陣心中』。
やはり高林監督の生涯は(いい意味でも、悪い意味でも)、偉大なる自主映画監督でしかなかったのかもしれません(『蔵の中』(1981年)や、『雪華葬刺し』(1982年)の世界観は素晴らしいのですが)。


高林監督はこの映画の舞台となった西陣で育ち、父親が有名な着物デザイナーであったともいいます。おそらく、監督作品の中でも思い入れの大きかったのが、この『西陣心中』なのでしょうが、その思い入れが災いし、ストーリー展開をなぞるだけのチープな通俗作品とも受けとれます。
また高林監督は原案・撮影・監督の三役をこなしていますが、追い詰められた男女がビルから飛び降りるラストシーンは、おそらく原案の段階から思い描いていたのでしょう。作品自体がこの印象的なラストシーンに向かう流れありきで、ストーリーが予定調和的に展開してしまっているのが、残念なのです。

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脚本は、名脚本家の高田宏治が担当していますが、やくざ映画やアクション映画では定評があるものの、『西陣心中』のように高林が志向する文芸的(芸術的?耽美的?)作品の脚本家としては、少々不似合でしたね。
むしろ、この時に『蔵の中』や『雪華葬刺し』で脚本を担当した桂千穂とコンビを組んでいれば、もう少しスムーズな展開になったのかな、と・・・。


とはいっても、配役の妙は、さすが高林監督でした。

関わる人々を、知らず知らずのうちに破滅へと追いやる主人公・野沢ゆみを演じた島村佳江の“魔性の女”ぶりが、魅力的。

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ゆみの相談役となる、人のいい刑事・西川には、名古屋章。

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デートクラブ(デートクラブという言葉が、昭和!)のママ・とよには、三原葉子。
とよの愛人には、この頃の高林作品の常連でもある中尾彬(眼帯姿が、演出なのか、本当に物もらいを患っていたのかわからないところが、この頃の低予算映画の魅力でもあります(苦笑))。

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そして、ゆみの知られたくない過去をネタに言い寄る、あこぎな宮崎には成田三樹夫(見事なソリコミ!)。

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ゆみの相手役・立野博之は光田昌弘が演じていますが、『ヒポクラテスたち』(大森一樹監督、1980年)では医学生・河本を好演し、『幻の湖』(橋本忍監督、1982年)では、琵琶湖大橋で主人公・道子(南條玲子)に刺される作曲家・日夏を迷演(『幻の湖』という作品自体が、迷作ですので迷演になるのも仕方がない)。

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西陣心中 その2

2013年05月21日 17:47

野沢ゆみ(島村佳江)は会社の上司・井上と無理心中を図るが、井上だけが亡くなり、ゆみ一人が生き残る。

井上の妻(白川和子)に罵倒されるゆみを庇う刑事・西川(名古屋章)。

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故郷の福島へ帰ることをすすめる西川の心配をよそに、ゆみは京都へ向かう。

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うどんをすするゆみに目を付けたのが、デートクラブのママ・とよ(三原葉子)。とよの愛人・矢野には中尾彬。

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デートクラブで働くゆみだが、ショーウインドーにならぶ西陣の着物に魅せられ、西陣へ。

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〈機の音が響く西陣〉

「織り手さん募集」の張り紙がある織屋「吉嘉商店」を覗くと、若い職人の姿が。

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〈30年、40年前の西陣では、普通にこの手の張り紙が張ってありました〉

吉嘉の主人・吉田嘉助(土屋嘉男)は取引会社が倒産したため、職人の給料支払にも窮していた。そこに、ぼろ儲けの話があると耳打ちするのが糸屋の宮崎(成田三樹夫)。

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〈「ちょっとおもろい話があんのやけどな」。「なんやねん、それ」。仁丹(昭和の紳士の必需品)をかみ砕く成田三樹夫。「ぼろ儲けの口や」〉

その頃、吉田の妻・はま(楠侑子)は、近所の釘抜地蔵(石像寺)へお参りに。

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リウマチ持ちのはまは、職人の立野博之 (光田昌弘)におぶさって行く。

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〈「西陣の織手はなあ、だれでも年取ってくると、指がきつうなって動かんようになるもんや。そんな時、釘抜地蔵はんに釘抜奉納して拝んだら、痛みが釘を抜くようにおさまるんやでえ」と釘抜地蔵の解説を丁寧にしてくれます〉

ゆみはデートクラブをやめ、西川を遠い親戚とうそをついて保証人に立てて、吉嘉商店に勤めることになった。

吉嘉商店の職人は、博之と山下(大泉滉)。博之は子供のころからの住み込み職人だった。

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「このべっぴんはん、どっかで見た顔やなあ」とゆみを舐めまわす吉嘉商店にやってきた宮崎。ゆみの素性を、しつこく博之から聞き出そうとする。

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町で会ったゆみに「わしな、お前の秘密思い出したで。こないだまで、東山のやとなクラブにでとったやろ」と耳打ちし、ばらされたくなかったらデートをしてくれと脅迫する。

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〈“やとな(雇女)”も関西独特の言い回し〉

しかし、ゆみは宮崎の待つ嵐山の旅館には来かなかった。

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〈待ちぼうけを食わされた宮崎はこの表情〉

その頃ゆみは、博之の代わりに、日課のはまのマッサージをする。そしてはまは、博之が女郎の子だと打ち明ける。

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西陣心中 その3

2013年05月21日 17:48

織屋の年に一度の晴れ舞台、着物の展示会で、来場者にゆみを紹介する吉田。

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一方、その後もしつこくゆみを誘う宮崎。「今度すっぽかしたら堪忍袋の緒がプッツンやで」と。
しかし、その日、ゆみは博之と琵琶湖に写生に来ていて、「もう帰ろう」という博之に、ゆみは「今日は帰りたくないの」と博之を誘う。

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ゆみに結婚を申し込む博之だったが、その夜遅く帰ったゆみに吉田夫妻は縁談の話をすすめる。

着物展示会で会った御曹司・水川(松川勉)に見初められ、ゆみは気の進まないうちに見合いをすることになった。

西川に相談するが、西川からも「嫁に行け」と言われる。しかし、ゆみは織物の仕事を一生続けたいと打ち明ける。

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〈東本願寺前の噴水〉

ゆみが水川とドライブに行った途中、事故を起こし、水川だけが重傷を負う。
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〈水川が事故を起こしたのは、かの有名な“鳴滝トンネル”〉

機を織っているゆみに、話があると訪ねてきた宮崎。二度もすっぽかされた腹いせもあり、「お前みたいな女な、ここに置いといたら西陣全体の恥さらしになるんじゃ」と怒鳴る。

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宮崎を突き倒すゆみ。打ち所が悪かった宮崎は血を流しながら逃げ惑い「あの女、ただもんちゃうで」と吉田夫妻にゆみの素性を暴露する。

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過去がばれ、家を出ていこうとするゆみを罵倒する、はま。そこに博之が来て「俺とゆみちゃん、結婚させておくんなはれ」と懇願する。

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〈はまは茫然の顔で、「かわいそうに博之。お前までがこのおなごに魅入られてしもうて・・・」〉

宮崎への傷害で拘留されていたゆみを迎えに来た西川。その西川に「お風呂へ入りたいわ」と旅館に誘うゆみ。

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真面目な西川は、「一人にしないで」と言うゆみの誘いを断り、必ず更生させると西川の家に一時身を寄せることとなる。
しかし、駅で西川がトイレに行っている隙に、ゆみの姿はなくなる。




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