五番町夕霧楼 その6

2011年05月01日 23:32

五番町夕霧楼 監督・山根成之 1980年


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前作である田坂具隆監督の『五番町夕霧楼』(1963年、東映)と比べてしまうこの山根成之監督の『五番町夕霧楼』(1980年、松竹)ですが・・・、リメイクする意味がまったく見あたりません。まあ、無難につくられた、凡作です。

作品紹介には、水上勉の『五番町夕霧楼』(1962年)に加え、公開の前年に出版された『金閣炎上』(1979年)も含めて脚本が書かれたようですが、『金閣炎上』(水上勉が放火犯の学僧・林養賢の周辺を取材したノンフィクション的作品)の影響はほとんど見られません。というか、明らかに1963年の田坂作品を脚本的にも演出的にも踏襲し、少し焼き直しただけの作品という印象でした。


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撮影時に20代後半だった松坂慶子ですが、そもそも、19歳の片桐夕子役をこの人の配役にした時点で、失敗でしたね。バニーガール姿で「愛の水中花」を歌い、お茶の間に色気と笑いをもたらした一年後に、この役はちょっと・・・(笑)。しかも、松坂慶子という人はフツーにしていても実年齢より年上に見えてしまうのに、若作りを意識した、お下げ髪姿が役者として痛々しい・・・。


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夕霧楼の女将・かつ枝には浜木綿子。この人は、うまいっ! 演技も別格。


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夕霧楼の元の経営者・酒前伊作の遺骨を持って京都に帰ってきた、かつ枝。女郎たちがみんなで手を合わせている中に、一人だけ芋を食っている娼妓が。って、この演出は女郎をバカにしすぎ。


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なぜか、原作にも、田坂作品にも出てこない活動屋役の横内正が、一躍この作品では夕子の客として重要な配役に。左は娼妓・敬子役の風吹ジュン。


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コンパネでつくった感丸出しの鳳閣寺。



五番町夕霧楼 その7

2011年05月01日 23:33

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ストーリーには関係ありませんが、娼妓に財布をすられたと訴える客は、井上昭文。最近、お見かけしませんねえ・・・。時代劇の悪代官と言えばこの人ですっ。一度見たら忘れられない、名脇役。


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放火犯となる学僧・櫟田正順には、奥田瑛二。


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夕子を水揚げする西陣の呉服屋・竹末甚造には、長門裕之。田坂作品で名演を見せた同役の千秋実の演技に影響されすぎっ(笑)。


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鳳閣寺にいる正順からの手紙で、正順が夕霧楼を訪れることを知り、一張羅のワンピースを新調した夕子。しっかし、何ですか? この紫のケバい衣装は・・・!!
まがりなりにも、1972年から水上勉公認で井筒八ッ橋のイメージキャラクターとなっている「夕子」にこんな衣装を着せるなんて・・・。


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で、出ました! 名脇役といえば、そう、この人、加藤嘉!! 正順の病弱で気弱な父親役での登場です。
この人、この頃はまだ、60代のはずですが・・・枯れちゃってます・・・。しかし、温厚で実直そうなこの風貌にして、実生活では結婚4回のプレイボーイ。しかも3回目の相手は山田五十鈴でした。


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客の一人として田中邦衛も出ています。


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最後に・・・、この映画でもっとも唖然とさせられたのが、この人。役柄は鳳閣寺の一室に住む進駐軍の愛人で女優の五条乃理子。演じるのは、宇佐美恵子という人です。
モデルから女優に転身した人のようですが・・・役柄での化粧と衣装のどぎつさもさることながら、映像を異空間に引き込むほどの大根役者ブリっ!! 外国人が片言で演技しているのかと思っちゃいました(苦笑)。


なんとも、監督のセンスを疑う、微妙にトホホな映画でしたね・・・(狙っていない“微妙なセンスのズレ”がなんとも痛々しく滑稽なのです)。





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