姉妹坂 その1

2011年08月05日 23:36

姉妹坂 監督・大林宣彦 1985年


なんだか、これ・・・けっこう、いい映画なのです・・・。

『姉妹坂』は京都を舞台に、血のつながらない喜多沢家の四人姉妹(紺野美沙子、浅野温子、沢口靖子、富田靖子)を描いた物語で、原作は小学館の少女雑誌「プチセブン」に連載された大山和栄原作の同名漫画です。

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まず、この映画を見るにあたっての注意点。この映画は・・・ミュージカル映画だということ。

ここを押さえずして観てしまうと、トンデモ映画以外のなにものでもなくなってしまいます。
なんせ、ヒロインで三女役の沢口靖子が通う大学で「全女子大生の人気を二分するふたり」というのが、尾美としのりと宮川一朗太という世界なのですから(苦笑)。そこを疑問に思っては、残念ながらもうこの映画を観るための道は踏み外し、世界観にはついていけないでしょう(笑)。

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〈大学のキャンパスは同志社大学で撮影〉


沢口靖子や尾美としのり、宮川一朗太らが踊るクリスマスパーティーでのとっても小恥ずかしいダンスや、富田靖子のロボットダンス・・・。

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フォーク歌手・園臣大役の早瀬亮なる人の存在・・・。

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尾美サンの・・・濃すぎるアイシャドー。

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浅野温子の・・・セーラー服姿。

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保育園で歌う沢口靖子のザンネンな・・・歌声。

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格好をつけて哲学の道を去っていく尾美サンの自転車のサドルの・・・低さ。

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工事現場から久しぶりに戻ってきた宮川一朗太のドーランの・・・濃さ。

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こういった“些末なこと”にツッコミを入れたら、ある意味負けです(苦笑)。



設定も展開も、これ以上の王道はないというほどの少女漫画チックなストーリー。
しかし、大林宣彦の“妙”とでもいいましょうか・・・全体のテイストはやけにノスタルジックで切なく感じられる色彩に仕上げてきました(ミュージカル調なのに・・・)。


映画の冒頭から、三女・茜(沢口靖子)をめぐるライバル・桜庭諒(尾美としのり)と柚木冬悟(宮川一朗太)が水路閣を舞台にフェンシング対決!?

WS000007_R.jpg 〈水路閣〉


題名の由来ともなるのが、四姉妹の住む家にいたる坂道。
施設にいた三人が新しい母親となる喜多沢千代(藤田弓子)に手を引かれて、喜多沢家に至る道の坂道を登っていくのです。

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すると坂道の途中で父親となる喜多沢守男(佐藤允)と長女が出迎えていて、六人が揃って「ひい、ふう、みい、よっ、なんだ坂、こんな坂」と、かけ声をかけながら上がっていくシーンが・・・実にいい。

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〈日向大神宮への坂道。決してメジャーな神社ではありませんが、近くの蹴上にある山之内浄水場取水池とともに、雰囲気を出しています〉


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〈山之内浄水場取水池は、茜(浅野温子)が入院する病院の外観として使われています〉


劇中では終始、登場人物の心象をあらわすようにピアノやバイオリンのBGMが鳴り響き、構図やカットのつながりも全く無視した斬新な演出。こんな演出方法が許されるのは“尾道三部作”がヒットした後の大林宣彦だからなのです。


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〈茶房「小径」。四人姉妹の実家であり長女・彩(紺野美沙子)が営む喫茶兼土産物店。哲学の道にある実名の喫茶店が使用され、現在も改装をされて営業中とのこと〉


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〈京福電鉄の太秦駅。茜と杏が乗る電車に、諒と冬悟が乗り込んできた場面〉


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〈祇園の辰巳神社付近。酔った藍(富田靖子)が不良に連れ去られようとしているところを、助ける格好いい尾美サン(笑)〉



姉妹坂 その2

2011年08月05日 23:37

あらすじ・・・。


両親が不慮の交通事故で亡くなって7年。
父親が営んでいた哲学の道近くの写真店を改装し、喫茶・土産物店「小径」を営む長女・彩(紺野美沙子)。雑誌社に勤めるカメラマンの次女・茜(浅野温子)。大学生の三女・杏(沢口靖子)。そして、高校生の四女・藍(富田靖子)。

ある日の大学の構内で、三女の杏がフェンシング部で学内の人気者の二人、桜庭諒(尾美としのり)と柚木冬悟(宮川一朗太)から告白される。


戸惑う杏を尻目に、クリスマスパーティーのダンス会場で冬悟から無理矢理キスされた杏。それを見た諒は「どうやらオレの負けらしいな」とあっさり杏を諦めた。

そして、諒が後輩たちと飲みに行ったスナックで見かけたのは次女の茜。家計を助けるためにカメラマンの他に、夜はスナックでアルバイトをしていた彼女に心を寄せる。

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〈謎の覆面をかぶり悪ふざけをして夜の祇園を歩く、尾美サン〉

冬悟の誕生日に実家の茶会に誘われた杏。冬悟の実家は老舗の京扇子屋で、本来の冬悟には従妹でフィアンセの宝大寺毬子(横山美樹)がいたのだった。ところが、柚木の気持ちが杏に移り変わっている事を知った毬子は、杏を喫茶店に呼び出し、杏も知らない自らの出生の秘密を明かす。喜多沢家の本当の子供は長女の彩だけで、他の三姉妹は施設からもらわれてきた養女だという事を。

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〈冬悟を返せと杏に迫る毬子。「返してくれへんのやったら、ここを切るわ」とティースプーンを手首に当てる毬子!〉

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戸籍謄本を取り寄せ、事実を姉に尋ねる杏。その姉たちのやりとりを部屋の外で聞いていた四女で高校生の藍はショックを受け、自暴自棄になってディスコに繰り出す。

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〈酒に酔った四女役の富田靖子は、ビックリするくらい奇妙なロボットダンスを披露(苦笑)〉

東京に住む杏の生みの親・綾小路良江(入江若葉)が現れ、彩に杏を引き取りたいと申し出る。綾はその申し出を断るが、茜は突然、杏に冷たくなり、彼女の生母に引き合わせる。

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〈京都センチュリーホテルのレストランで綾小路良江(入江若葉)が彩(紺野美沙子)に杏を引き取りたいと言っている場面ですが・・・後ろの外国人エキストラの張り切り方が凄い(笑)。入江若葉のセリフが耳に入らないくらいのジェスチャーによる会話で熱演!〉


家計を助けるため夜のアルバイトをしていた茜(浅野温子)が倒れ、杏(沢口靖子)は裕福な生母の元に行く決心をし、その最後の思い出に冬悟(宮川一朗太)と旅に出て一夜をともにする。

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〈杏と冬悟が降り立ったのは、山陰線の保津峡駅〉

綾小路家に入ったはずの杏だったが、すぐに家を出て夜はウエイトレスのアルバイトをしながら自活。夢であった施設で働く保母を目指す。

その頃、喀血していた茜が医師の岩城(竹脇無我)から白血病と宣告された。岩崎は彩(紺野美沙子)のかつての恋人でもあった。彩は自分の幸せを捨て、岩崎と別れ妹たちを育ててきた。
長く生きられないことを悟った茜は諒(尾美としのり)と荒れた海を見に行く。

東京にいる杏は、建設会社に就職が決まり研修に来ていた冬悟から茜の病気の事を聞く。
茜の病気を心配し、杏が京都に戻り久しぶりに四姉妹がそろった席で、自らの妊娠を告白する茜。お腹の子は諒の子どもだった。

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〈「子どもは私の籍に入れますさかい、どんな結果になってもあんたさんは新しい人生を目指しておくれやす」と諒へと告げる彩に「オレと茜さんはれっきとした夫婦なんです」とキッパリ応えるオットコマエな諒役の尾美サン。ロケ地は寺町五条下がるの“世継地蔵”こと上徳寺〉

余命少ない茜だったが、子を産む決意をし、無事に男の子を出産。

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体も弱くなった茜は「海を見たい」と言い出し、病院を抜け出し諒と二人で出かけた海岸で、茜は息絶える。

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〈亡くなった茜を抱きかかる諒。そのそばを通りかかる老人には特別出演の宇野重吉〉

そして、海岸からの帰り道、亡くなった茜を乗せた諒の運転する車はガケから海へと飛び込こむ!!?

ダム工事の工事現場から一年ぶりに杏の元に帰ってきた冬悟。
そして、藍(富田靖子)は夢だった手描き友禅作家へと、杏は保母にとそれぞれが道を歩み始める。
茜と諒の息子・一仁が歩けるようになり、桜の舞い散る坂道を手をつないでそのこの手をつないで上がっていくのは岩城。そして坂の中ほどでは彩が立っていた。

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映画、もとい芸術的表現というのは、なにもリアルである必要なんてないってことが、この映画からは学べます。残念な事にDVDにはなっておらず、手軽に観る事はできませんが。
DVDになっていないって・・・まさか、大林宣彦や出演者の中で、忘れたい過去となっている作品ではないですよね?




蔵の中 その1

2011年09月02日 00:48

蔵の中 監督・高林陽一 1981年


あらすじ。

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昭和10年、京都にある出版社「象徴社」の編集長・磯貝三四郎(中尾彬)の元へ、蕗谷笛二(山中康仁)という胸を病んだ青年が小説原稿を持ち込んできた。

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評論雑誌『象徴』を出版する磯貝だが、小説の持ち込み原稿は受けないと断ろうとする。しかし笛二は読んでもらわないと、転地療養にも行けないと頑なに居座った。仕方なく預かることを承知した磯貝に、「おもしろいに決まっていますよ、少なくとも先生には・・・」と意味深な言葉と笑みを残して、笛二は象徴社を後にした。

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原稿の題名は「蔵の中」。そこには肺を病んだ姉・小雪(松原留美子)を慕い、姉が隔離された蕗谷家の別邸にある蔵の中に入り浸る弟・笛二との暮らしが描かれていた。

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小雪は五歳の時に中耳炎に罹り、聾唖となった。そして胸をも病んでしまった今、他人にうつさないようにと薄暗い蔵の中で、からくり人形や錦絵を見て、ひっそりと暮らしていた。

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弟の笛二は、女中の婆や(小林加奈枝)が病気がうつると心配するのをよそに、姉がいる蔵の中に出入りする。弟が姉を思う愛情は、体を拭いてやったり、喀血した姉の唇から、血を吸い取って楽にしてやるほど偏狂なものだった。

いつしか姉と弟は男女の関係となる。しかし、弟は背徳の行為に後ろめたさを感じ、一方では姉の儚い運命に同情を寄せ、断り切れずに姉との情愛に溺れていく・・・。

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ある時、笛二は蔵の中で遠眼鏡を見つける。蔵の窓からその遠眼鏡で覗くと、京都の町が一望できた。白川の行者橋を金魚売りが歩く姿。南禅寺の水路閣では意味ありげな男女が、物憂げに佇んでいる姿・・・。
そして、笛二と小雪のいる蔵から、そう遠くない一軒家の座敷には、かの「象徴社」の磯貝と、その愛人・お静(吉行和子)の姿があった。

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磯貝は妻を亡くしたばかりで、お静は高利貸しの未亡人。磯貝がまだ三高の書生で、お静が新京極のカフェで女中をしていた頃からの知り合いだった。
しかし、若かりし頃の磯貝が出版事業の援助をしてくれる資産家の妻と結婚したことから、お静は歳の離れた高利貸しと仕方なく結婚した。

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そんな二人の事情は、姉と会話をするために幼い頃から読心術を会得していた笛二にとっては、容易いことだった。

お静は磯貝に、儲からず忙しいだけの出版社を辞め、自分が養うから一緒になろうと、言い寄っていた。
磯貝は出版事業への思いを断ち切れずに、また妻が亡くなって四十九日も経っていないことから、結婚はすぐには出来ないと口よどむ。

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日に日に感情的になっていくお静は、不審な最期を遂げた磯貝の妻は、実は磯貝が財産目当てで毒殺したのだろうと核心をつき、磯貝の弱みを握ることで結婚を迫る。しかも磯貝はお静に借金を背負っていた。

次第にヒステリックになるお静に、激高する磯貝。そしてついにお静の首を縁側で締め、殺してしまった。

その殺人を蔵の中から見ていた、笛二と小雪。

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将来を儚む小雪は、笛二にあのように首を絞めて殺してくれと頼む。
もちろん拒絶する笛二だったが、そこに蔵の外から婆やの声が。笛二が訝しんで様子をうかがうと父親も一緒にいて自分を引き戻しに来たようだった。

姉と引き離される事態に戸惑った笛二は蔵の階段で、血を吐く。姉の肺病がいつしか彼にもうつっていた。
そして笛二は自らの血がついた手で、姉の首を締めていた・・・。

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象徴社の事務所で「蔵の中」を読み終えた磯貝は、急いでお静と暮らしていた家に向かった。そこから見回すと、確かに一軒の蔵が見える。

蔵のある「蕗谷別邸」と書かれた門扉を入ると、ひとりの若い女中(上中美樹子)がいた。

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しかし、その女中によると、かつても今も蔵の中にいるのは笛二だけで、婆やという人物は自分が奉公する二年前に亡くなったといい、姉の小雪なる人物もいないという。


そして、笛二がいるという蔵に上がり込み、磯貝が蔵の中で見たものは・・・。

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蔵の中 その2

2011年09月02日 00:48

「蔵の中」は昭和10年8月号の『新青年』に発表された横溝正史の小説。文庫本にして40ページにも満たない短編小説です。

監督の高林陽一にとって、横溝作品の映画化は『本陣殺人事件』(1975年)に次ぐ二作目でした。

横溝正史といえば、市川崑監督による『犬神家の一族』(1976年、角川春樹事務所)からはじまった横溝シリーズの映画化が一大ブームをもたらしましたが、『病院坂の首縊りの家』(1979年、東宝)でいったん終了。

しかし、このブームを挟むように、横溝正史原作による高林映画が『本陣殺人事件』(1975年、ATG)と『蔵の中』(1981年、東映、制作・角川春樹)としてあったのです(ちなみに、『蔵の中』と同時上映されたのは、篠田正浩監督による『獄門島』でした)。

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『蔵の中』では、翌年の高林監督による『雪華葬刺し』(原作・赤江瀑)も手がけた桂千穂が脚本を担当していますが、高林監督と桂千穂の脚本は相性が良かったのでしょうか。原作とは物語の内容は異なるものの、原作に大きく発想を得た見事な脚色がなされています。

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〈映画のオープニングは中尾彬扮する磯貝三四郎が雨の中、亡き妻の墓参りをする怪しげなシーンから。内藤丈草の「かげろうや塚よりそとにすむばかり」の句が、これから始まる物語を象徴しています〉

耽美、幻想、頽廃・・・に満ちた『蔵の中』『雪華葬刺し』の両作品は、高林陽一にとっても監督キャリアでの全盛期を象徴する作品といって間違いないでしょう。


「蔵の中」の原作では・・・物語の舞台は東京本郷、小石川あたり。姉と弟との情交はなく、慕っていた姉が亡くなった後、自らも肺を病み転地療養から戻ってきた笛二が、かつて姉と遊んだ蔵の中でひとり、白粉や口紅、眉墨を塗って化粧をし、姉の形見の振り袖を身につけ、その美しさにうっとりとするのです。
そして、そんなひとり遊びにも飽きた笛二が遠眼鏡を手にし、覗いた先が磯貝とお静が過ごす座敷だったというわけです。
妻を殺し、愛人であったお静をも殺した出版社「象徴社」の名編集長・磯貝のもとに、遠眼鏡で出来事の一部始終をうかがっていた笛二がそのあらましを描いた小説を持っていくというストーリーですが・・・実際には妻も愛人も殺していない磯貝は、ただお静との情事を覗かれていたことに激怒して、笛二に原稿を送り返します。が、その後、新聞記事で笛二が病気を苦にして蔵の中で自殺したことを知り、愕然とする、という内容です。

江戸川乱歩はこの作品を、横溝が谷崎潤一郎の「恐ろしき戯曲」に刺激されて書いたのではないかと指摘したのだとか。

そして原作の中には、映画の持つ妖しさの雰囲気はそれほど見あたりません。

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映画の脚本では、原作の笛二の内面から姉・小雪を引きはがし、別人格として蔵の中に据え付けることによって、蔵の中を笛二の内面そのものとして描きだすことに成功。現実と虚構の世界を浮遊するかのような幻想的な物語たらしめているのです。


そして映画『蔵の中』では胸を病んで蔵の中に隔離されている聾唖の姉と、その姉を慕う弟とのいけない性愛が物語の大半を占めています・・・が、ここで重要なのが、実はこの姉・小雪を演じる松原留美子はニューハーフだということです。

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公開当初は、その話題性もあり、恐らく多くの人がその事実を知った上で観たのでしょうが、後に観た人の中には、松原留美子を女性だと思って自然と観ていた人も多かったようです。
しかし、ニューハーフが演じる姉と弟との情交という事実と彼女を起用した監督の狙いこそが、この映画をより耽美、幻想、頽廃の世界へと誘う役割を高めていたと考えるのが自然です(知ってから観た方が、より世界観を楽しめる・・・でしょう)。

1980年頃に「ニューハーフ」という呼称が生まれ、その中でも松原留美子はニューハーフを初めてキャッチフレーズにしたタレントとして知られています。
キャバレーにホステスとして勤めていた1981年、六本木フェニックスのイメージガール「六本木美人」に男性であることを隠して応募し、起用された後に、男性であることが発覚(最近も、そんなニューハーフの人がいましたね)。マスコミはこぞって彼女を取り上げ、同じ年にこの『蔵の中』で主演デビューを果たすのです。その後も歌手デビューをしたり、テレビ出演をしたりするものの、その活動期間は一年ほどと短かったようです。

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しかし・・・当時は“どこから見ても女性”と評判だった松原留美子さんですが、映画の中では、髪型のせいもあるのでしょうが・・・ところどころ男性に見えてしまう場面も(むしろ、ニューハーフと知らずに観れば、映画全体の印象もまた違ったものになったのかも知れませんネ。どうしても、あら探しをしてしまうのです・・・)。

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そして弟役を演じた山中康仁は、黒澤明監督の『影武者』(1980年)では森蘭丸を演じ、大林宣彦監督の『転校生』(1982年)や鈴木則文監督の『パンツの穴』(1984年)にも出演。すでに引退していますが、線の細い肺病の文学青年役としては、なかなかの存在感です。

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演技がうまいというよりも、虚構の幻想世界を生きる人間としての存在感が抜群なのです。

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松原留美子も山中康仁も、この映画のためだけに存在したような役者でした。


また、カメオ出演として、ともに8ミリ映画の自主制作映画出身で高林監督の盟友とも言うべき、大林宣彦が金魚売りの役で登場。

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ちなみに、高林監督も大林監督の『ねらわれた学園』(1981年)や『時をかける少女』(1983年)に出演しています。

さらに制作に関わった角川春樹も南禅寺の水路閣で女性と二人、所在なさげに佇んでいます。

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この隣の女性は、特別出演でクレジットもされている、きたむらあきこ、です。


最後に・・・主題歌である桃山晴衣の「遊びをせんとや生まれけん」という曲、映画の世界観に合いすぎで、怪しすぎます・・・。





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