しぶちん京都 その1

2010年11月23日 00:17

しぶちん京都 著者・グレゴリ青山 2006年

しぶちん京都 表紙


グレゴリ青山さんの笑える京都本シリーズ第2弾『しぶちん京都』(メディアファクトリー)です。
前作『ナマの京都』同様、書店にあふれた通り一遍のガイドブックに飽きちゃった人、必読ですね。

ただ、『ナマの京都』に比べれば、少しパワー不足なのは否めません(まっ、前作がおもしろすぎたのですが)。
タイトルの「しぶちん」は「ケチ」という意味。「はんなり」「ほっこり」が“ハレ”の京都弁だとすると、「しぶちん」は「いけず」「もっさい」「いちびり」「しんきくさい」「いらち」などとともに“ケ”の京都弁の代表です。

さて、『しぶちん京都』の冒頭は、そのものズバリ「しぶちん夜遊び案内」。
長年のバックパッカーの経験を生かしてグレちゃんが友人を引き連れ、安くて“おいしい(味覚的にも、体験的にもネ)”ところを案内してくれます。「東華菜館」「居酒屋 静」「夜の宮川町」「五条ゲストハウス」・・・。

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もちろん普段の京都人の“生態”もてんこ盛り。

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子どもの頃、家の扉が新しくなり喜んでいたグレちゃんですが・・・。


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大人になって・・・実家の扉がアルミサッシであることに「麻生圭子にバカにされる」と頭を抱えるグレちゃん、最高! でも、悲しいかな、これが京都の現実なのよね~。


前作『ナマの京都』の料亭でのアルバイトに引きつづき、今回は年末の錦市場でのアルバイト経験(老舗の漬物屋かな? さすがに何屋さんかは、ぼかしてますね)も暴露しています。
もちろん欠かせないのは“いけず”なオバチャン。この人たちの口癖は「嗤われるえ」ですが、嗤うことが大好きなのは、まさにこの方たち当人なのです。

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和気あいあいと仕事をする同年輩のアルバイトを横目に、ひとり大奥さんのお手伝いをさせられるグレちゃん。


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京都人のプライドを逆なですると、蛇のようにしつこくネチネチと“いけず”をされてしまうのでご注意を(笑)。



しぶちん京都 その2

2010年11月23日 00:19

今回も「未来くん」の登場です!

過去の人となって久しい未来くんが、京都最後のパラダイス「京都タワー」に潜入します。

数年で街から消えることとなった未来くんにとって、建設時は賛否両論ありながら(ほとんど否だったようですが・・・)40年以上も生きながらえている京都タワーの秘密を探りに行くのです。

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安くない展望料金770円を巡る考察は、さすがグレゴリ青山さんですね。
京都を360度見晴らせる絶好の景観。そして、ここから唯一、見えない建物といえば・・・ですか(笑)。

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子どもの日常の遊び「下駄隠し」や、夏休みの楽しみ「地蔵盆」は、京都や関西ならではのもので、他の地域の人たちにはピンと来ないでしょうね。


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「下駄隠し」の遊び方としては、子どもたちが履いている靴を片方ずつ差し出し、道端にならべます。
そしてひとりの子が、絵にあるような奇妙な歌を歌い順番に指でさしていき、「ブッとこいて、ブッとこいて、プップップッ」の最後の「プッ」でさされた靴を抜いていきます。その歌を靴の分だけ繰り返した後、最後に残った靴の子どもが鬼となります。
鬼以外の子が、町内の道端・・・たとえば水道栓の蓋の中や、雨樋の隙間や、鉢植えの裏などに、靴を隠し、隠し終わると鬼がそれを探すのです。まあ、かくれんぼの靴版ですね。 
もちろん、鬼が探している間、他の子は片足立ちや片足跳びをして、鬼の探す様子を傍らで見ているのですが、興に入ってくると、もう靴下が汚れるのも気にしなくなってしまい・・・、あまり親にいい顔をされない遊びでもあったのです(笑)。


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8月の末(23日、24日に近い土日をあてる場合が多いです)に行われるのが、子どもにとって夏休み最大の行事「地蔵盆」です。
町内毎に、お地蔵さんを祀るのですが、子どもにとってはそんなことは二の次です。宿題のことを、とやかく親に言われることもなく遊び放題の上、一日に二回もらえるお菓子の詰め合わせや、おもちゃの当たるくじ引き、さらに金魚釣りやスイカ割りなど、町内それぞれで趣向を凝らした遊びがあって、夢のような二日間なのです。まっ、夏休みの最後の足掻きでもあったのでしょうが・・・、地蔵盆が終われば、たまった宿題が待っているのです。
ところが今は、少子化の影響もあって、二日間だった行事を一日に短縮したり、子どもの姿が全く見られず、老人の集会の場となっていたりで・・・昔の活気は全くなくなっちゃいましたねえ。